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死神界探訪記  作者: 青田ミドリ Chat Chronoir (C,C)


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3/5

no.2 「邂逅、藪」

ストーリーキャラクター情報①


「死神」


姿……… 人間と同じ

身体能力……… 一流アスリートの二倍ぐらい?

(具体的なデータ無し)


まれに、特殊能力の素質がある。

特殊能力を生まれながらに使うことができる個体がいる。

(遺伝子によって差異あり)


死神は、死んでしまった人間の魂を死神界に持っていく。

ただし、死神が人間を殺すことはタブーである。

(その事実を知らなければ、それは適用されない)


もちろん鎌を持っている。

普段は持ち歩いていないが、何か起こればすぐに手に持ち戦うことができる。


鎌は人それぞれ。

鎌にもいろんな種類がある。







後ろから何かが爆発する音、それと建物が崩れる音が聞こえた。

後ろを振り返ると、黒い煙が空に昇っていくのが木々の間から見えた。

普通、電車が横転したところでさして爆発などは起きないが、何があったのだろうか。


ポケットの中に手を入れて、スマホが割れていることを再確認した。

大きいため息も出た。


こういう時に文明の利器がないと困るのだ。

この藪の中からどこに行けばいいのかも分からないのだ。

途方に暮れながら、とりあえず歩くことにした。


偶然なのか、それともこの藪を通っている人がいるのか分からないが、足元に獣道ができていた。

それも、この先しばらくは続いているから、辿っていくことにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


───自然は好きだ。


木々の緑を見て、先ほどの事故も少しは忘れられそうだ。

余裕があったら、家に観葉植物でも置こうかとも考えたことがある。

一番好きな所は、何も考えていなそうな所。

ただ風に揺られているだけ、すべてを自分以外の要素に任せているような。

僕には、いや、人間にはできない事なんだろうと思っている。


昔、死んだ母が良く言っていた気がする。

「人はどんなに幸せになっても、結局は孤独なのよ」


その文言を言った母はものすごく優しい顔だったから、それを少し疑ったこともある。


「でもね、みんな孤独なのよ、孤独はひ(・)と(・)り(・)じゃない」

その後に続くこの文言の意味が、僕にはまだわからない。

いや、孤独を感じてはいるのだが。


そんな不思議な母と結婚した僕の父親に聞けばいいのだが、生憎仲が悪いのだ。

現在、一人暮らしをしているのもそれが理由だ。

都会に行く電車も、見送ってくれたのは妹だけだった。


一瞬、日陰が僕を覆った。

さっきの衝撃でカラスか何かが飛んだのだろうか。


そういえば、さっきから蝉の鳴き声がしない…?

まるで秋の夕暮れで公園を歩いている時みたいに、

葉っぱの揺れる音、風が通り抜ける音、走っている人の息遣いが聞こえてくるような。




…走っている人の息遣い?

ここには、僕しかいないのに?


また、日陰が僕を覆う。僕は上を見上げた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



───あれはカラスじゃない。


いや、黒いのは共通しているが、明らかに大きすぎる。

というか、人のように見えた。というか、数多くないか?

たくさんの影が僕の上を通り過ぎていく、七十を超えたあたりで影は消えた。

いったいなんなんだ。



少し強い風が吹いてきた。

「ぃって」


目にゴミが入ってしまった。

僕はそのまま風に背を向けて、体ごと後ろを向く。

目をこすっていると、だんだんと視界が回復してきた。


…たった今気が付いたのだ。


僕の後ろに、さっきの黒い人がいる。

もう、すぐそこに。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



走る、走る。

もう少しだ、あともう少しだ。

こんなのがあるって分かってたら朝飯なんて買ってなかったのに!


ゲートの前には人だかりができている。

結局、前のやつと後ろのやつに体を押されながら、私は人間の世界に降り立った。

満員電車ってこんななのかな?


念じる。

念じると体が浮いた。


人間の世界には、三種類の元素が空気中に含まれている。

それらを体ごと包むイメージで念じると、体と空気が溶け合って、体の体積が減っていく。

さらに集中すれば、空を蹴って飛ぶことができる。

しかし、こ(・)ん(・)な(・)の(・)はみ~んなできるんだよなぁ。


ほらみろ。

空に飛んだのはいいが、空にも同胞たちがいっぱい。

遠くに黒い煙が見えた、んが、すでに黒いコバエみたいな死神たちに取り囲まれている。

ま、ようするにあそこらへんの魂は全滅だ。残~念。



ん?

なんか一人だけ歩いてるやついる。

え、しかも入(・)口(・)に向かって歩いとるやんけ!

チャーーーーンス!!


誰もアイツに気づいてない。

一人ぐらい、私も魂を持って帰んないと。


私はゆっくり静かに降りた。

しかし、上空はまだいっぱい同胞(てき)がいる。

さっさとやんなきゃ。


標的は男性だった。

私は背後から身を隠して近づいていく。

が、ここで無駄だったと気づいた。


彼は致命傷を負っていない。

死神は、死んだ人間から魂を抜き取り、そのまま死神界へ送っていく。

死んでいない人間を殺し、魂を持っていくことはご法度だ。


でも、このままいくと入っちゃうのでは?

そのまま死神界に入っちゃうのでは?


………これはもうやるしかないか?

私は、彼の後ろに自分の身体を寄せた。


強い風が吹いた。

おそらく、上空を飛んでいる奴らの風が、下に流れてきたのだろう。


彼が私に気付いた。


「………」


やばい、なんて切り出せばいいか分からん、口がずっと開いたり閉じたりしてる。

え、気まず。


「…あの~」


「ア、ハイ」


ヨシ!

あっちが先に話してくれた、マジ助かった。

…さっさと説明をしな


「後ろの人は、友達?」










──ふ~ん、なるほど。


、、、風を切る音が聞こえた。

私は、彼に向けて振りかぶられた鎌を、手に持っていた自分自身の鎌で受けた。

鎌同士の音が響く。

地面にものすごい衝撃がかかる、私の足の形に合わせ地面がへこんでいる。


そのまま鎌を奴らに向ける。


「こんなことして大丈夫?

      本部にばれたらマズいでしょ?」


返答はない。

だが、彼らの目は私を「邪魔」と言っている目だ。

何だこいつら、ムカついてきた。


「そこの人間、早く後ろに…」

その言葉を言い終わる前に、彼が走り去っていった。

早、情けな。


それを追おうとする彼らの前に私がいる。

私は、再び目を彼らのほうに向けた。


「さてと、どっちからここで一休みしたい?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


空を飛んだり、どっかからかはわかんないけど鎌を振り回したり。

人間じゃない、人間じゃない、人間じゃない!!


さっきから、後ろで鎌が叩き合っている音がする。

そして、僕の後ろには影が付いてきてる。

今必死に逃げてるからわかんないけど、たぶん上の飛んでた黒い人たちだろうな。


草を踏みしめ、全力で走る。

こんなに必死で走ったのは、だいたい一か月ぶりだ。

遠くの景色が揺れるほど暑い、七月の真ん中あたり。

僕はグラウンドの一番高いところからボールを投げていたっけ。


試合に負けた後は、何も覚えてない。

涙は出ていない。…というよりあんま覚えてない。


今足を緩めたら、僕はここで死んでしまうのだろうか。と思った。

さっきの人たちも彼女じゃなくて、僕に向けて攻撃してきていたし。

一瞬上を見たら。鎌を持った黒い人たちが、4人ぐらいいた。


もしここで、足がもつれたら死ぬだろう。


結局のところ、僕は人生で何も好きに、何にも熱中することができなかった。

野球も、音楽も、小説を書こうとさえ思っても、その気持ちは長続きすることがない。

言い換えれば、鉄の叩き方が下手というのが僕の欠点だったのだろう。


そんなことを考えていたら、どんどん目の前が開けてきた。

今はまだ死にたくないと、思えた。奥に、鉄のゲートのようなものが見える。

急いでそこに飛び込むように僕は入っていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ふう。

何とかふんじばったけど、時間かかっちゃった。

あれ…?


なんか重要なことを忘れてる気がする。

何だっけ?

えっと、さっきは人間を後ろに逃がして、こいつらシバいて………


後ろに?

やべ、後ろに逃がした?

この先は入口だ、死神界の入口がある!!!


いかん、こうなるんだったら、私があの人間殺すんだった!!!

というわけで、私は、まーた走ることになった。


ちゃんちゃん。


個人的見解

※興味のない方は、読み飛ばしていただいて構いません。


私が言うことがないような?

だいたい事実だし。




でも。

………この時の野郎二人はね、すっごい弱かったね。

すっごい私を睨んでたのもそうだけど、なんかすっごい疲れてた?ていう感じ。


まぁ、ミドリの話は私に聞かれてもわかんないよ?

でも、書き方からして野球やってたんだろうね。

死神界にもあるし、野球なら。


というかもう三年前になるんだね。






───先輩が死んで、もう三年かぁ………



考察 レーナ・ノーミリー



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