# 第四話 勇者の秘密
# 第四話 勇者の秘密
翌朝。
村には久しぶりに平和な空気が戻っていた。
護衛隊が魔狼王を倒し、村人たちは復興を始めている。
しかし――
リリアの心は晴れなかった。
昨夜のゼルグの言葉が頭から離れない。
**「勇者の秘密を暴いてやる」**
「私の秘密って何なんだろう……」
小さく呟く。
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すると隣にミアが座った。
「勇者様」
「なに?」
「難しい顔してます」
リリアは苦笑した。
「少しね」
「悩み事ですか?」
「うん」
ミアは少し考えた後、にっこり笑う。
「なら大丈夫です!」
「え?」
「勇者様なら乗り越えられます!」
「根拠ないよね!?」
「あります!」
ミアは胸を張る。
「勇者様だからです!」
「それ根拠になってない!」
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そのやり取りを見ていた護衛隊。
ガルドは小さく笑った。
「元気になったようですね」
リリアは少しだけ気持ちが軽くなった。
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だがその日の昼。
事件は起きた。
旅の途中。
森の奥から助けを求める声が聞こえたのだ。
「誰かー!」
全員が駆け出す。
そこにいたのは小さな女の子だった。
十歳くらい。
泣いている。
「お母さんが……!」
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少女に案内される。
森の奥。
そこには倒れている女性がいた。
息はある。
だが顔色が悪い。
レオンが診察する。
そして表情を変えた。
「まずい」
「どうしたの?」
リリアが聞く。
「呪いです」
空気が凍った。
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呪い。
それは魔法とは違う。
解呪は極めて困難。
王国最高の神官でも解除できない場合がある。
少女は泣きながら母親にしがみつく。
「お母さん……」
誰も言葉を失った。
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その時だった。
リリアの胸元。
勇者の証が光り始めた。
淡い金色。
優しい光。
「え……?」
リリア自身も驚く。
証は今までこんな反応を見せたことがない。
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光は女性を包み込む。
すると――
黒い霧が体から抜け出した。
呪いだった。
それが消えていく。
数秒後。
女性の顔色が戻る。
ゆっくり目を開けた。
「ここは……?」
少女が泣きながら抱きつく。
「お母さん!!」
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全員が固まった。
レオンが震えながら呟く。
「あり得ない……」
「え?」
「勇者様」
レオンは真剣な顔だった。
「今、呪いを消しました」
「私が?」
「はい」
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リリアは何もしていない。
ただ助かってほしいと思っただけ。
なのに奇跡が起きた。
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その夜。
護衛隊は焚き火を囲んでいた。
珍しく全員が無言。
やがてガルドが口を開く。
「やはりか」
レオンが頷く。
「伝説と同じです」
ミアだけが話についていけない。
「何の話です?」
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ガルドは静かに語った。
「初代勇者の話だ」
千年前。
世界を救った伝説の勇者。
その力は剣でも魔法でもなかった。
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**人を救いたいという願い。**
それが奇跡を起こす力だった。
傷を癒し。
呪いを解き。
絶望を希望へ変える。
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「つまり」
ミアが目を丸くする。
「勇者様って……」
レオンが微笑んだ。
「世界で最も優しい力を持つ存在なのです」
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リリアは黙っていた。
強くなければ勇者じゃないと思っていた。
戦えなければ意味がないと思っていた。
でも違った。
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誰かを救いたい。
その気持ちこそが勇者だった。
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少しだけ。
胸の奥が温かくなった。
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だが。
その頃。
魔王城。
玉座の間。
ゼルグは報告していた。
「確認しました」
魔王は静かに聞く。
「勇者の力は目覚め始めています」
「そうか」
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長い沈黙。
そして魔王は玉座から立ち上がる。
「ならば」
赤い瞳が揺れた。
「私も会わねばならないな」
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ゼルグは驚いた。
「まさか自ら!?」
魔王は小さく笑う。
その表情はなぜか悲しそうだった。
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「千年待ったのだから」
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## 次回予告
**第五話 「魔王、会いに行く」**
ついに魔王が動く!
しかし目的は討伐でも誘拐でもなかった!?
そして明かされる、勇者と魔王を結ぶ千年前の約束とは――!
運命の歯車が回り始める!




