表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

# 第四話 勇者の秘密

# 第四話 勇者の秘密


翌朝。


村には久しぶりに平和な空気が戻っていた。


護衛隊が魔狼王を倒し、村人たちは復興を始めている。


しかし――


リリアの心は晴れなかった。


昨夜のゼルグの言葉が頭から離れない。


**「勇者の秘密を暴いてやる」**


「私の秘密って何なんだろう……」


小さく呟く。


---


すると隣にミアが座った。


「勇者様」


「なに?」


「難しい顔してます」


リリアは苦笑した。


「少しね」


「悩み事ですか?」


「うん」


ミアは少し考えた後、にっこり笑う。


「なら大丈夫です!」


「え?」


「勇者様なら乗り越えられます!」


「根拠ないよね!?」


「あります!」


ミアは胸を張る。


「勇者様だからです!」


「それ根拠になってない!」


---


そのやり取りを見ていた護衛隊。


ガルドは小さく笑った。


「元気になったようですね」


リリアは少しだけ気持ちが軽くなった。


---


だがその日の昼。


事件は起きた。


旅の途中。


森の奥から助けを求める声が聞こえたのだ。


「誰かー!」


全員が駆け出す。


そこにいたのは小さな女の子だった。


十歳くらい。


泣いている。


「お母さんが……!」


---


少女に案内される。


森の奥。


そこには倒れている女性がいた。


息はある。


だが顔色が悪い。


レオンが診察する。


そして表情を変えた。


「まずい」


「どうしたの?」


リリアが聞く。


「呪いです」


空気が凍った。


---


呪い。


それは魔法とは違う。


解呪は極めて困難。


王国最高の神官でも解除できない場合がある。


少女は泣きながら母親にしがみつく。


「お母さん……」


誰も言葉を失った。


---


その時だった。


リリアの胸元。


勇者の証が光り始めた。


淡い金色。


優しい光。


「え……?」


リリア自身も驚く。


証は今までこんな反応を見せたことがない。


---


光は女性を包み込む。


すると――


黒い霧が体から抜け出した。


呪いだった。


それが消えていく。


数秒後。


女性の顔色が戻る。


ゆっくり目を開けた。


「ここは……?」


少女が泣きながら抱きつく。


「お母さん!!」


---


全員が固まった。


レオンが震えながら呟く。


「あり得ない……」


「え?」


「勇者様」


レオンは真剣な顔だった。


「今、呪いを消しました」


「私が?」


「はい」


---


リリアは何もしていない。


ただ助かってほしいと思っただけ。


なのに奇跡が起きた。


---


その夜。


護衛隊は焚き火を囲んでいた。


珍しく全員が無言。


やがてガルドが口を開く。


「やはりか」


レオンが頷く。


「伝説と同じです」


ミアだけが話についていけない。


「何の話です?」


---


ガルドは静かに語った。


「初代勇者の話だ」


千年前。


世界を救った伝説の勇者。


その力は剣でも魔法でもなかった。


---


**人を救いたいという願い。**


それが奇跡を起こす力だった。


傷を癒し。


呪いを解き。


絶望を希望へ変える。


---


「つまり」


ミアが目を丸くする。


「勇者様って……」


レオンが微笑んだ。


「世界で最も優しい力を持つ存在なのです」


---


リリアは黙っていた。


強くなければ勇者じゃないと思っていた。


戦えなければ意味がないと思っていた。


でも違った。


---


誰かを救いたい。


その気持ちこそが勇者だった。


---


少しだけ。


胸の奥が温かくなった。


---


だが。


その頃。


魔王城。


玉座の間。


ゼルグは報告していた。


「確認しました」


魔王は静かに聞く。


「勇者の力は目覚め始めています」


「そうか」


---


長い沈黙。


そして魔王は玉座から立ち上がる。


「ならば」


赤い瞳が揺れた。


「私も会わねばならないな」


---


ゼルグは驚いた。


「まさか自ら!?」


魔王は小さく笑う。


その表情はなぜか悲しそうだった。


---


「千年待ったのだから」


---


## 次回予告


**第五話 「魔王、会いに行く」**


ついに魔王が動く!


しかし目的は討伐でも誘拐でもなかった!?


そして明かされる、勇者と魔王を結ぶ千年前の約束とは――!


運命の歯車が回り始める!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ