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# 第二話 勇者、初めて怒る

# 第二話 勇者、初めて怒る


翌朝。


リリアは決意していた。


「今日こそ戦う!」


宿屋の食堂で拳を握る。


ガルドたちは顔を見合わせた。


「勇者様」


「なに?」


「危険です」


「まだ何もしてないよね!?」


朝からいつもの調子だった。


---


街を出てしばらく進むと、運よく魔物が現れた。


ゴブリン三匹。


リリアは目を輝かせる。


(きた!)


剣を抜く。


「みんな見てて!」


勇者らしく前へ出た。


ゴブリンたちも襲いかかる。


「えいっ!」


リリアが剣を振る――


その瞬間。


ドゴォォン!!


背後から飛んできたガルドがゴブリンを吹き飛ばした。


「危険でした」


「だから私が戦ってたの!」


---


二匹目。


リリアが魔法を放つ。


「ファイア!」


小さな火の玉が飛ぶ。


しかし。


ズドン!!


レオンの超巨大魔法が森ごと照らした。


ゴブリン消滅。


「勇者様を危険な目には遭わせられません」


「私の魔法返して!」


---


三匹目。


今度こそ。


今度こそと思った。


しかしシグがいつの間にか後ろに現れ、


「終わりました」


ゴブリンは気絶していた。


リリアは膝をつく。


「もう嫌だ……」


---


昼。


川辺で休憩。


リリアは木に向かって愚痴をこぼしていた。


「勇者なのに何もできない……」


その姿を見ていた一人の少女がいた。


銀色の髪。


赤い瞳。


年齢はリリアと同じくらい。


少女は近付いてくる。


「あなたが勇者様?」


「そうだけど?」


「会えて光栄です!」


突然、土下座した。


「弟子にしてください!」


「え?」


---


少女の名前はミア。


勇者に憧れて旅をしているらしい。


「勇者様は魔王を倒す英雄!」


「いや、まだ倒してないけど……」


「勇者様は最強!」


リリアは護衛隊を見る。


全員目を逸らした。


「最強ではないかな……」


---


しかしミアは目を輝かせる。


「勇者様みたいになりたいんです!」


その言葉に。


リリアの胸が少し痛んだ。


(私みたいに……?)


本当の自分を知ったら。


きっと失望する。


そう思った。


---


その時だった。


森の奥から悲鳴が聞こえた。


「助けてぇぇぇ!」


旅人だった。


巨大なオーガに追われている。


身長三メートル。


巨大な棍棒を持つ怪物。


ミアは震えた。


「お、オーガ……!」


ガルドたちも動こうとする。


しかし――


リリアが前へ出た。


「待って」


全員が驚く。


「勇者様?」


「今回は私がやる」


---


オーガが迫る。


足が震える。


怖い。


正直逃げたい。


でも。


ミアが見ている。


助けを求める旅人もいる。


リリアは剣を握りしめた。


「勇者だからとか関係ない」


一歩前へ。


「困ってる人を助けたいだけ!」


---


オーガが棍棒を振り下ろす。


リリアは必死に避けた。


転びそうになる。


それでも立つ。


もう一度剣を構える。


そして――


勇者の証が光った。


眩しい金色の光。


オーガが怯む。


リリア自身も驚いた。


「え……?」


その瞬間。


剣がオーガを打ち据える。


ドォン!!


巨体が吹き飛んだ。


地面を転がる。


オーガは気絶していた。


静寂。


誰も動けない。


---


最初に声を上げたのはミアだった。


「すごい……!」


目をキラキラさせている。


「勇者様、かっこいい!」


リリアは顔を赤くした。


「そ、そうかな……」


「はい!」


その笑顔を見て。


リリアは少しだけ自信を取り戻した。


---


だが遠く離れた場所で。


黒い鎧の男がその光を見ていた。


魔王軍四天王。


ゼルグ。


「なるほど……」


不敵に笑う。


「ついに目覚め始めたか」


勇者だけが持つ力。


世界の命運を左右する力が――。


---


## 次回予告


**第三話 「勇者ファンクラブ爆誕!」**


弟子になったミアが大暴走!


「勇者様は世界一です!」


街中で宣伝を始めてしまい、リリアは大パニック!?


さらに魔王軍四天王も動き出す――!


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