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## 第一話 勇者、暇すぎる

# 『美少女勇者だけど、護衛が強すぎて私の出番がない件』


## 第一話 勇者、暇すぎる


「勇者様、おはようございます!」


朝。


宿屋の扉が勢いよく開いた。


飛び込んできたのは護衛隊長のガルドだった。


ベッドの上で寝ぼけていた少女――


勇者リリア・セイントは目をこすった。


「んぅ……まだ眠い……」


「危険です!」


「宿屋だよ!?」


リリアは思わずツッコんだ。


ガルドは真顔だった。


「勇者様に絶対はありません」


「寝起きくらい平和でいさせてよ……」


---


朝食の時間。


テーブルには豪華な料理が並んでいた。


パン。


スープ。


卵料理。


果物。


焼き魚。


肉。


ケーキ。


「多くない?」


「勇者様のためです」


「私一人分だよね?」


「もちろんです」


「食べきれないよ!」


するとレオンが優雅に紅茶を飲みながら言った。


「勇者様は世界の希望です」


「希望にも胃袋の限界があるの!」


---


朝食後。


一行は魔王城を目指して街道を進んでいた。


旅の目的は魔王討伐。


普通なら命懸けの冒険である。


だが――


「敵襲だぁぁぁ!」


盗賊の集団が飛び出した。


リリアは驚く。


「わっ!」


しかし。


シュン。


シグが消えた。


次の瞬間。


盗賊たちは全員地面に転がっていた。


「終了」


「早っ!?」


リリアが叫ぶ。


まだ心の準備すらできていない。


---


さらに進む。


今度は巨大な魔物が現れた。


高さ五メートル。


巨大な牙。


凶悪な咆哮。


「グオオオオオ!!」


普通なら絶望する相手。


だが。


「邪魔だ」


バルトが剣を振る。


ズバン!!


魔物は真っ二つになった。


「よし」


「よしじゃないよ!」


リリアが叫ぶ。


「私、勇者なんだけど!?」


「え?」


四人が首を傾げた。


「勇者様が戦う必要あります?」


「あるでしょ!?」


---


昼。


森の中で休憩。


リリアは木陰に座りながら考えた。


(私……今日まだ何もしてない……)


朝起きた。


ご飯食べた。


歩いた。


以上。


勇者らしいこと。


ゼロ。


---


その時。


近くの村から悲鳴が聞こえた。


「た、大変だー!」


村人が駆けてくる。


「ドラゴンです!」


「ドラゴン!?」


リリアは立ち上がった。


ついに出番かもしれない。


「私が――」


しかし。


ガルドたちはすでに走り出していた。


「勇者様はここで!」


「待って!」


「安全第一です!」


「話を聞いてー!」


---


三十分後。


帰ってきた。


ガルドたちが。


ドラゴンを引きずりながら。


「討伐完了しました」


「私の出番は!?」


「ありませんでした」


「知ってる!」


---


夜。


宿屋。


リリアはベッドに倒れ込んだ。


「はぁ……」


世界を救う勇者。


伝説の存在。


選ばれし英雄。


そのはずなのに。


今日やったことは、


ご飯を食べて、


歩いて、


昼寝しただけ。


「私……本当に勇者なのかな……」


少しだけ寂しくなった。


その時だった。


窓の外から声が聞こえた。


「見つけたぞ」


低い声。


冷たい気配。


黒いローブをまとった男が立っていた。


魔王軍の幹部だった。


「勇者リリア」


男は不敵に笑う。


「今夜、お前を――」


そこまで言った瞬間。


ガルドが壁をぶち破って飛び込んできた。


ドォォォン!!


「勇者様ァァァ!!」


「壁ぃぃぃ!?」


宿屋の壁が吹き飛んだ。


さらに。


レオン。


バルト。


シグ。


全員集合。


魔王軍幹部は青ざめた。


「え……」


護衛隊を見た。


護衛隊を見た。


もう一度見た。


「帰っていい?」


「ダメだ」


ガルドが剣を抜いた。


魔王軍幹部は泣きそうになった。


そして思った。


(勇者よりこいつらの方が怖い……)


---


### 次回予告


**第二話 「勇者、初めて怒る」**


ついに我慢の限界を迎えたリリア。


「私も戦う!」


しかし護衛隊は全力で反対!


さらに現れたのは、勇者を尊敬しすぎる新たな護衛候補!?


勇者の平和な日常は、まだまだ続く!


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