第7話 俺様の誘拐事件と変なおじさん達
ダンジョンでおいしい干物を手に入れた俺様は、毎日のんびりと過ごすのだ。茶色の女の人がくれるお弁当もいいし、解体のおじさんからもらう切れ端も美味しいのだ。
だけど、やっぱり魚の干物ゾンビが一番美味しいのだ。これは食べる楽しさがあるのだ。
ペチペチはねるのを眺めて楽しむ、逃げる干物を捕まえて楽しむ。もちろん、食べて楽しむのが最高なのだ。それから、受付の椅子に置いて、茶色の女の人をびっくりさせるのも、ちょっと楽しいのだ。これは一部の臭い人達からも好評なのは俺様にもちょっと意味わかんないのだ。
さて、魚の干物ゾンビで遊ぶと、ちょっと本格的な狩もやってみたくなる。俺様たちは狩をする動物なのだからな。そんな時は、商人さんの倉庫に行って、ネズミを狩って遊ぶのだ。夜に何匹か狩ったら、色んな場所に飾っておくのも楽しみの一つなのだ。倉庫の入り口や、おじさん達の椅子の上に置いて置くのもいいけど、倉庫じゃなくてお店の入り口に並べるのが最近のお気に入りだ。店の女の子達がキャーキャー騒ぐのがいいのだ。倉庫のおじさんの「ぎゃぁ〜」は聞き飽きたし美しくないのだ。
今日も、店の女の子達の「きゃー」を聞いて、上機嫌で帰り道を急いでたのだ。お腹も空いたしな。
はやく帰ろ。俺様は表通りをタタタタと小走りで抜けた。そしたら、脇道から音がした。
「 チっ チっ チっ チっ チっ チっ チっ」
猫はチっチっチっと言われたら振り向いてしまうと決めつけてないだろうな? 実はその通りなのだ。
振り向くと、変なおじさん達が居たのだ。
「 チっ チっ チっ」
おじさん達の一人が、ポイッと何かを石畳に投げた。ちょっと鼻を突き出して嗅いでみる。すんすんすん。これは硬い肉の臭いだな。好きじゃないな〜〜
「 チっ チっ チっ」
うるさいな〜 俺様達がその音に振り向く理由をおしえてやろうか? 気持ち悪いからだよ! そんな変な音を出したら、人だって不気味で振り返るだろ?
おじさん達は無視して、俺様はさっさと帰るのだ。ハンターギルドまで小走りで駆け抜けた。
最近、「チっ チっ チっ」って言う人が増えたのだ。人はどうして俺様たちに「チっ チっ チっ」て言うんだろうな? だって意味わからないぞ? 猫が言ってる事が解らない? それより人が意味不明な音を出すのをやめるのだ。普通に「ごはん」とか、「あっちいけー」とか、「こっちこーい」とか言ったらよいのだ。
その頃から、ネズミ退治の帰りに必ず「チっ チっ チっ」のおじさん達に会うようになった。いつも「チっ チっ チっ」って言ってるけれど、最近はごはんがアップグレードしたのだ。
ちょっと美味しそうな柔らかお肉だったり、大好物の魚の切り身だったりするのだ。
こうなってくると、俺様も知らん顔は出来ないのだ。石畳におちたごはんを、ぱっと咥えて、さっと逃げるのだ。逃げる時は全力ダッシュなのだ。おじさん達が俺様を捕まえようとするからな。その手をすり抜けたり、足元をすり抜けたりして、捕まらないように逃げるのだ。
今日は、魚の切り身をゲットしたのだ。俺様は上機嫌で受付の机の上に飛び乗った。いつものように茶色の女の人が「おかえり」と言ってくれる。
「よう、みーちゃん、ネズミ退治の帰りか! 調子はどうだ? ガハハッ」
今日は、臭い人が居るな。臭いから机の下で食べるとするかな。
「また、ごはんをもらって来たみたい。最近、毎回ごはんを貰ってくるんですよ。ガイルさん何か知ってます? ギヨムさんは違うと言ってましたし」
「さあてなあ、ギヨム商会からの道なら屋台も無いしな。どこかの家から盗んできたか? ガハハハ」
「まさか!!! みーちゃん、そうなの?」
茶色の女の人が俺様を見るけど、盗んではないぞ? 魚の切り身をハグハグしながら、シッポをペシペシする。
「ガイルさん、みーちゃんを監視して下さい。もし盗んでいたら止めて下さい」
「まじかよ、みーちゃんがネズミ退治に行く日も決まってないのにかよ?」
「後輩ハンターの面倒を見るのも仕事のうちだって、いつも言ってるじゃないですか!」
「ほんとに面倒だなそれ。おい、みーちゃん、次はいつ行くんだ?」
そんな事を聞かれたって知らないよ。気が向いたら行く、それが俺達ネコってもんだからな。
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