第6話 俺様のダンジョンツアーとお土産
ハンターギルドに戻った俺様は上機嫌で受付の机に飛び乗った。
「おかえりみーちゃん、討伐には付いていかなくてよかったのに、心配したわよ」
茶色の女の人には、お土産をあげよう。いつもお世話になっているからな。
魚の干物ゾンビが机の上にペチっと落ちてピチピチ撥ねる。
「ひっ何これ? 魚の干物? 動いてる?」
「それな、干物のゾンビだ。みーちゃんは美味そうに食ってたぜ?」
俺様は鼻先で干物ゾンビを茶色の女の人に押し出した。
「私にくれるの? でもゾンビは臭いがね・・・臭いが・・・いい香りね・・・」
茶色の女の人は干物ゾンビに顔を近づけた。
「おいしそうな香りね、魚の臭みが全然ないわ。本当に食べられるの? みーちゃん」
俺様は得意げに上を向いてやった。茶色の女の人は干物ゾンビを千切ると、おそるおそる口に入れた。
「これ、美味しい!」
「まじかよ、オレにもちょっと」
あ、こら! 臭い人にはやらないぞ! と思ったけど引きちぎって持って行かれたのだ。くそ。
「こりゃ旨え! みーちゃんがダンジョンの底まで付いてくる訳だな。ガハハハハ」
魔術師のダリルは、指先でピチピチはねる干物ゾンビをつついていた。
「東方の国で魚を生きたまま食べる民族がいると聞いたことがあります。
なんと野蛮な民族かと思ったのですが、これはそれ以上ですね。
まさかゾンビにして食べるとは・・・想像を絶する調理法です。
ところで、食べる前に鑑定しました?」
茶色の女の人と臭い人が「しまった!」と
「ダリル鑑定だ! 早く」
ダリルは一切れ千切ると、目の前に持ち上げて「鑑定」と唱える。
「ふむ・・・「ラアジ魚の干物ゾンビ」と出ました。食用可ですから毒はないでしょう。
非常に美味で栄養満点、滋養強壮効果とあります。激レア食材ですな」
茶色の女の人と臭い人は、ほっとした顔をしていた。
鑑定をしたダリルは、その一切れを口にぽいっといれた。
「確かにこれは美味! 今まで食べた事がない旨さだ! すばらしい!」
そこからダリルのうんちくが始まってしまった。
「ゾンビというものは非常に臭い。普通のナマモノは腐っていきますからね。でもゾンビの場合は、ただ腐敗するだけでなくてゾンビ化の魔力が死体にある種の強化作用を働かせるので、その副作用で強い臭いが発生する考えられています。しかし、これは干物だ。腐りにくくした魚の死体といえます。これがゾンビ化の魔力の影響で・・・・・・・
「ダリル、長ったらしいな!」
「これは失礼、要するに、ゾンビ化した干物は、とても美味しくなる、ということですな」
騒ぎを聞きつけて、回りの臭い人達も寄ってきて、干物ゾンビはすぐに無くなってしまったのだ。
せっかく茶色の女の人にあげたのになあ。
もう一枚出してくれって? 俺様が食べる分だから出してあげないのだ。ふーんだ。
あそうだ、干物にもどったやつがあったな。こっちは食べられないから出してあげよう。
「げ、マズ! なんだこりゃ」
「あーそっちは浄化しちまった干物だな」
結局また大騒ぎになった臭い人達は、ホールで宴会を始めたのだ。
俺様はこっそりと受付の机の下へ隠れて魚の干物ゾンビを一枚平らげた。やっぱりこれは美味しいのだ。
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