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赤い髪のリリス 戦いの風〜世継ぎの王子なのに赤い髪のせいで捨てられたけど、 魔導師になって仲間増やして巫子になって火の神殿再興します〜  作者: LLX
51、創世を知るドラゴン

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596、追放された神

狭間のしんとした部屋を見回し、リリスが暗い顔で大きくため息を付いた。


ヴァシュラムの他に、穴を塞げる者を知っていて……

知っていながら、眷属を犠牲にしたのだ。

あの火と日の神は


「何故、そのようなことを…… 」


「だって、追放された兄弟だもの。」


「えっ? 」


「弟だよ、彼らのね。

日の3兄弟、ってね、古代種の者は知ってるけど、何も伝わってないらしいから、知らないのは仕方が無いよ。

お日様が上がって、それから炎が生まれ、彼らの光から生まれたのが彼だよ。」


ガーーーン、


チラリとドラゴンが、衝撃を受けて固まって考え始めるリリスを見る。

コンコンと、爪の先でテーブルを叩いた。


「なんで2人とも頼まないんだって顔だよね? それ。

無理だね、何で1人だけ離れていると思うんだい?

アトラーナを離れて、聖域に入ろうともしない。」


「あっ、あっ、そうか。

そうですね、何か理由があるのですね? 」


ドラゴンが大きくうなずく。

実は、喋りたくてうずうずしているのかもしれない。


「うん、彼は…… ね、忌み神と嫌われていたからさ。」


追放された?? 一体何故? 最高神の兄弟であれば、力も大きかったであろうに。

追放??


「忌み…… 神?? 

神なのに、誰も祀らないのですか? 」


「そうだね、会うときっとわかると思うよ。

彼はすでに兄弟を避けているから、行っても会えるかどうかわからないさ。」


リリスが視線を巡らせ、考える。そして珍しく、人差し指の背をかんだ。

ドラゴンがフフッと微笑んで、それを見ながら腕を組み、頬杖を突いた。


まあ、普通の人間なら、ここで言うよね。

手を貸して欲しいって。

知り合いなら手を貸せって。


この子は面白いね。人に頼るのは、最後の最後だ。

まず自分が動こうとする。

人に頼ったことがないんだね、きっと、苦労してきたのだろう。

君からは王族のオーラが出ているのに、王族の匂いがしない。



答えが出たのか、リリスが顔を上げる。


「わかりました。場所まで教えていただき助かりました。

私は行かなくては。眷属の解放がまず先なのです。」


そう言って立ち上がると、腕にしがみつくイネスのドラゴンに気がついた。


「そうでした、イネス様、現世に連れて行って大丈夫でしょうか? 」


やっぱりお願いは無しかと笑うドラゴンに、リリスが不思議な顔をする。



「うん、大丈夫だよ。ほら、守りの服も用意したし。」


そう言って、ドラゴンイネスをテーブルに下ろすと、髪で編んだ七色に輝く小さなベストを着せた。

イネスがパタパタ、慣れない羽を動かしながらリリスに駆け寄り、彼の顔を見上げる。

とても嬉しそうで、両手を広げて見せた。


「ほら、ほら、どう? 」


「あっ、可愛い! イネス様、とてもお似合いですよ。良かったですね。」


「うん、うん、なんか、ラクに、なた。」


お父さんドラゴンと同じ、虹色に鈍く光るドラゴンイネスの小さな頭を指で撫でると、腕を伝って肩に乗ってくる。

こうやって、リリスの肩に乗るのが定位置になってきた。


「えーと、グレンのお父様、あなた様はこれからどうなさいますので? 」


「私の名は、アルビウスだ。

そうだな、もう少し人間になる練習して、それから君の神殿にお邪魔させて貰うとするかな。

久しいから、人の世も変わっただろう。」


リリスが驚くほどホッとして、嬉しそうに手を合わせた。


「良かった! 会える場所にいていただくのは嬉しいです! 神殿はまだですが。

きっと、グレンも喜びます! 」


「うん、私もスイに会いたいし。

リリス、君の力にもなりたいな。

だから、遠慮無く私の力が必要なときは声をかけておくれ。」


驚いた顔で、目をキラキラ輝かせる。

アルビウスは、その様子が可愛らしくて、またクスクス笑った。


「嬉しい! とても嬉しいです!

わかりました、じゃあお先に現世へと戻りますから、ちゃんと来て下さいよ? 」


「はいはい、また昼寝なんてしないから安心して。」


「あっ、そうだ! アルビウス様。

万能神には追い返されるかもしれません、そしたら、どうかお手紙だけでも頂けますか? 」


「手紙?? 」


はあ〜


なんだろ、こんなに、こんなに、身体がモゾモゾすることないよね。

ちっとも、お願いしますが無いんだもん。


「本当に君は頼り方を知らないよね?

僕は、君に1人で行けなんて言ってないよ? 

僕もティールクの狭間まで一緒に行くよ、そうでもしないと一生見つからないじゃない? 」


「えっ! 本当ですか? 」


「うん、先に現世に行って1度自分の身体に戻りなさい。

君も身体と離れる時間が長いのは、あまり良くない。

私はもう少し人間に上手く化ける練習していくよ。

スイにも会いたいしね。」


「 …… ああ、そうですね。私の身体はトランにあると思うのですが、今どうなっているのか心配です。

ああ、日の神にまたフィーネをお聞かせするのが遅くなってしまいます。」


ふう〜ん、フィーネか、多才だねえ。


ドラゴンが首の小さなウロコを人差し指の爪で逆なでしてパリパリかいた。


「フィーネなら、ここで作っていけばいいじゃないか。」


「えっ?? 概念で作ったものが、現世で実在出来るのですか? 」


「そりゃあね、だって私はドラゴンだからね。

私のたてがみを弦にするといいよ、概念を固定する力くらいあるさ。

ただし、弦を切ってしまったら消えちゃうけどね。」


「ありがとうございます。それではお願いすることに…… 」


リリスが母に貰ったフィーネを思い出しながら本体を作り出して行く。

それをドラゴンに渡すと、概念で出来たもろい弦を引っこ抜き、たてがみを抜いて弦を1本1本張り始めた。

爪先の器用さに、目を奪われる。

まあ確かにこの狭間に来て彼と一緒にいると、時折時間を忘れて苦にもならない。


キュッキュッ

ピンピン


「ほら、以外といい音出すだろ? 

昔はよく狙われてねえ…… 

昼寝してたら、たてがみ掴んでバッサリ切られたこともあって、ほんと参ったよ。」



ふうん…… はあ…… 凄いなあ……


前で眺めながら、溜息交じりに感心する。


「何でも出来るんですねえ。」


「まあね、長く生きてるから。」


「良いから、早う弾いて聞かせよ。」


「まだ調律しないと、すぐには弾けませんよ。 えっ?? 」


「早う早う、待ては不可である。」


ふと見ると、片耳うさぎの小さな手の平ほどの光のボンボンが、手の上でぴょんぴょん跳ねている。

何と、太陽神が闇の狭間の世界まで来てしまった。


「主様、私を身体から追い出しましたね? 」


「早う、早う、我はこれを聞きに来た。」


「現世に戻ってからお聞かせしましょう。どうぞお連れください。」


ぴょんぴょんぴょん、  じーーーーーーー


何故か、跳ねるのを止めて手に沈み込むと、耳だけ出してピコピコ動かした。


「いまは駄目だ。来るな。」


「え? 何でですか? どうして? 」


「早う聞かせよ! 早う!早う! 」


ぴょんぴょんぴょん

また飛び出して、跳ね始めた。

何か様子がおかしい。ただ聞きに来たと言うわけではなく〜


「主様、私の身体は今どこにあるのですか? 」


はたと、また動きが止まった。

耳がだらりと垂れて、なんだか凄く困っている。


「うぬう〜〜〜 」


宙にフワフワ浮いて、スウッと消えて行く。


「あーーっ、逃がしませんよ! 話が、主様!! 」


リリスが慌ててそれを掴んだ。

すると、リリスの身体も消えて行く。



「あーーー!! フィーネ…… ! 」



そう、言葉を残して、ポンと消えてしまった。

後に残されたお父さんドラゴンが、呆気にとられてプウッと吹き出した。


「仲いいね〜、あんなシュラカ初めて見たよ。

くくくく、まあいいさ。調律までしといてあげるよ。

スイ、いい巫子じゃあないか。お仕えしているんだろう? 

早く会いたいなあ、あー、きっと怒られちゃうよね。」


ポンポン、弦を弾いて、調律を始める。


いや、この弦の音ってどうだったっけ?

あれ? 記憶があやふやだぞ? 寝過ぎたかな?

いや、まさか、もうろくしているのでは??


なんだかたよりない調律しながら、グレンのお父さんドラゴン、アルビウスは、ガランとした部屋を見回す。


「なんか急に寂しくなってきた〜 」


置いてきぼりを食ったように、人間に変身してみる。

だが、やっぱり肝心の顔はドラゴンのままだった

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