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赤い髪のリリス 戦いの風〜世継ぎの王子なのに赤い髪のせいで捨てられたけど、 魔導師になって仲間増やして巫子になって火の神殿再興します〜  作者: LLX
51、創世を知るドラゴン

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592、もう一人の異界の穴を塞げる神

ドラゴンが、リリスの素朴な無欲にクスクス笑って言った。


「キミのそう言う所が好きなんだろうね。

日の神が同居するなんて初めて聞いたよ。

国が乱れている現状で、失いたくない、その思いが強いのだろう。

でも、神と同居することで、その影響は身体にも大きいだろう。

どんな影響が出るのかわからないけれどもね。」


そうか、神とあまり近くいると、寿命が延びるって言われていたっけ。

それがいいことか悪いことかわからないけど。


「でも、私は狭間に封じられてしまった火の眷属達を開放したいのです。

そのためには、主様のお力をお借りするしか手はありません。

魔物を倒せば全てが解決すると思っていたのに、まさかヴァシュラムの手を借りなくては開放出来ないとは。」


ドラゴンには穴を塞ぐために閉じ込められた火の精霊たちのことを話した。

でも、解決の糸口はまだ見えない。

穴を塞いで開放せねば、開放した瞬間穴は大きく広がり、現代とこちらの世界は壁が無くなるのかもしれない。

精霊は消え、各国の王がどんな方向へ動くのか。

少なくとも一国は武器を仕入れ、沢山の他国の民を殺して侵略の道を歩もうとしたのだ。


「そうだね、敵対している現状では、ヴァシュラムが力を貸してくれる望みは薄かろう。」


「どうして、異界との穴を塞げるのが彼しかいないのでしょう。

アリアドネでも無理だというのです。」


「アリアドネとヴァシュラムは、力を分けているからね。

ヴァシュラムは、ほとんどの力を取り上げておきながら、アリアドネを馬鹿にしている。

今一番大きな神殿を構えるなんて、驚いたね。

ヴァシュラムは火の繁栄をうらやんでいた姑息な神だ、火を煙たがってた王族とは利害が一致している。

きっと火の神殿を落とすことに、何か結託した約定を結んだのだろう。」


ドラゴンが手を止めて、うーんと腕を組んで考える。

髪の毛のようなたてがみが、美しく七色にキラキラ輝いた。


「うーん、その異界との穴を塞ぐ方法、ヴァシュラム以外でもツテが無いと言えないこともないんだがね。」


「えっ! 本当ですか? 他にも穴を塞げる方が? 」


「ん〜、出来ないことはないと思うんだけどね。

昔からヴァシュラムは自分の仕事におろそかで、それに腹を立てていたし。

ほころび見てるとイライラするって塞いだの見たから。」



見た?


見た?? 見たーーー???!!



「ほっ んとう?!ですかっ!! 」


思わず、リリスが過呼吸気味になる。

いや、精神体で呼吸しているのかは定かではないけど。


「うーむ、だけどね、ただ、動いてくれるかどうかだよ。

説得するにしても、人間の話を聞くかどうか。」


「説得します!

この命賭けても、何としても!! 」


「さあ、君でもどうかねえ。

話してると、すっかりひねくれて妙にムカつく奴だし。

全てとすっかり亀裂が入ってしまってるし。」


「どこに…… いらっしゃるのですか? 」


「彼のいる狭間は、現世と薄皮一枚のほぼ現世だ。

まあ、いわゆる結界の中でのんびり暮らしてるのさ。

人間は嫌いだが、人の形は合理的だからと人間の振りをしている。

元々は決まった形はない神なんだけどね。」


「わかります。母様もそうだったもの。」


「今でも同じなら、場所はアトラーナの隣の、そのまた隣の国。

ケイールフリントーとその隣国との国境、アーラダーテの森にある狭間。

日の神なら連れて行ってくれるだろうさ。

ただ…… 」


「なにか? 」


ドラゴンが、首を傾げてもたげると切り出す。

これほど念を押されるとは、余程、話しのしにくい神なのだろう。


「でもその国、ティルルク、今の王が好戦的なんだろう?

相当機嫌悪いだろうね。

彼は戦争が嫌いなんだ。」


「よりによってティルクですか。

ああ、王族は、何でこう…… 」


溜息が出る。

底知れず、欲にまみれている。

いや、王族というのは元々こう言う者たちかもしれない。


「そう言う物だよ。

人間は欲の塊だろう? 君だってそうだ。

神殿を建てるのは、国を建てるのと同じだよ。

巫子は神を後ろ盾にした王だ。


国を大きくしたい、それ以上にアトラーナが欲しい、昔から良くあったことさ。

古代、精霊の女王と言われたエルル・ルルと、この地を治めていたジーナヴェルトが結婚して、アトラーナという国を作り上げた。

彼らはここを精霊の聖地として、その誓いに


“ 他国を侵さず、他国に侵されず、安寧の地とす ”


と、祈りと同時に強力な結界を作った。

だからね、精霊はアトラーナと言う結界を出ると力を大きく削られるんだ。」


リリスが驚いて、目を大きく見開く。


「それは…… 初めてお聞きします。

なぜ? なぜ、この国の大元に、根元にもなる話なのに、伝わらないのでしょう…… 」


ヒョイと、人間のようにドラゴンが肩を上げる。

呆れると生き物は、似たような行動を取るのだろう。


「伝えたくなかったんだろうさ。

300年前までは、おとぎ話にあったんだけどね。

大道芸人のお決まりの演目だったよ。

でも、災厄で全てが変わってしまった。

大道芸が王を称える事しか許されなくなると、彼らはとても困っていたよ。

王族が2人の物語を禁書にした所までは話に聞いたけど、その後は知らないんだ。」


「禁書?? なんて酷いことを。

精霊と平等であることが、なぜそこまで…… 」


うつむいてため息を付く。

人間に、何故と問うても答えはないだろう。

自分だって、色が違うだけで捨てられたのだ。


「わかりました。

始まりから詳しく教えていただきありがとうございます。

知ることは、楽しいですね。」


「ほう、そうかね?

君のような人間ばかりならば、争いは起きないのだろうがね。」


「その、穴を塞げる神様は、一体どちらの神でございますか? 」


ドラゴンが、編んでいた髪の糸を結んでそれを広げる。

それは、小さなチョッキだった。


「彼は、万能神、と名乗っていたよ。

まあ、何をどこまで出来るのかは私も知らないけどね。

一番知ってるのは君たちの神じゃないかね? 」


「えっ?? 日の神と火の神ですか?

何故でございますか? 」


「だって、彼は…… 」


驚くような言葉が飛び出し、リリスが目を剥いた。

立ち上がり、顔を巡らせる。

神が、どこか積極的に協力しないことに苛立ちながら、何か迷いを感じていた。

解決法を知っていたのだ。

でも、眷属の危機にあっても言い出せないほど、根深い何かがある。


でも、

でも!

解決しなければ!

何としても!


おのれ、 おのれ! 知っていたのだ! 日の神、火の神は!


知っていて、眷属を裏切ったのだ。


チリチリと髪が赤く輝きドラゴンが驚いてリリスを見る。

突然激増した怒りに、プレッシャーを感じて首を振った。


「恐ろしいほどだね、君の怒りは。

まさしく赤の巫子、怒りの巫子だ。」


ドラゴンが少し、話したことを後悔する。

だが、はたして人間嫌いの万能神が、動くことがあるのか?

300年現状が変わらないとしたら、彼らももう、踏み出す頃だと思った。

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