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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇一五 届いたことになっております

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報告書④ 届いたことになる手続き

 四つ目は、届いたことにする手続きの記録である。


 この手続きは、係の一存では踏めない。

 決められた場所に、決められた期間、通知を掲げておく。


 期間が過ぎたら、届いたものとして扱う。

 掲げた日と、外した日を書き留め、判をもらう。


 十一年ぶんの記録は揃っていた。

 日数はいずれも規定どおりで、一日の過不足も無い。


――――――――――――――――


 私は、██市の██課の課長補佐です。


 この手続きは、相手に届けるためのものではありません。

 届かないと分かっている場合に、それでも先へ進めるためのものです。


 届いたことになる、というのは、そういう意味です。

 実際に届くかどうかとは、初めから関係がありません。


 届かなくてよいのです。

 届かなくても進められるように、この決まりがあるのですから。


 ですから、戻ってきた、と言われましても。


 こちらの記録は、届いたことになっております。


――――――――――――――――


 この供述に、誤りは無い。

 制度の説明としても、記録の説明としても、正しい。


 届いたことにする手続きと、郵便で送る行為は、別のものである。

 別のものであるから、両方をやってもよいし、結果が食い違ってもよい。


 片方は市の記録の中で完結し、もう片方は市の外側で処理される。


 食い違ってよいことになっている二つが、同じ一件について、同じ月に、両方とも成立している。


 届かないと分かっている相手へ、毎年、こちらから出している。

 毎年出すことにしたのは、市の側である。


 ――五つ目は、その郵便を██課が受け取り直した記録である。

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