報告書③ 戻ってきた一通
三つ目は、戻ってきた封筒である。
返ってきた郵便は、庁舎の一階の、決まった棚に置かれる。
棚は月に一度片づけ、片づけた日と、扱った通数を書く。
当該の一通は、その記録に出てこない。
その月の記録を見た。
前の月も、次の月も見た。
通数の中に入る余地が無い。
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私は、██市の文書の係で、返ってきた郵便の整理をしております。
返ってきたものは、開けます。
中を見て、どこの課のものか確かめて、その課へ戻します。
開けずに戻すことはありません。
開けなければ、どこへ戻すか分かりませんから。
この一通は、開けてありませんでした。
開いていないものが棚にあるというのは、私が担当を始めてからは、これが初めてです。
誰かが置いたのだと思いますが、置いたのなら、記録も一緒に書くはずです。
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封筒は、当課で開いた。
中は、通知が一部。
用紙は二枚、三つに折ってある。
██課からは、戻ってきた十一通の写しが送られてきた。
それと同じ様式、同じ枚数である。
通知の差出人の欄には、██課の名がある。
個人の名は入らない。
封筒の外側に、課の名は無い。
表には、百十円ぶんの切手が貼ってある。
受払簿にある二枚目の額と、同じである。
消印は、その月のものだった。
差し出した日は、受払簿の二日あとの側と一致した。
届いたことになった日は、差し出した日の、十日ほど前である。
――届いたことになってから、十日ののちに、同じ通知が郵便で出ている。




