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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇一五 届いたことになっております

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報告書③ 戻ってきた一通

 三つ目は、戻ってきた封筒である。


 返ってきた郵便は、庁舎の一階の、決まった棚に置かれる。

 棚は月に一度片づけ、片づけた日と、扱った通数を書く。


 当該の一通は、その記録に出てこない。

 その月の記録を見た。


 前の月も、次の月も見た。

 通数の中に入る余地が無い。


――――――――――――――――


 私は、██市の文書の係で、返ってきた郵便の整理をしております。


 返ってきたものは、開けます。

 中を見て、どこの課のものか確かめて、その課へ戻します。


 開けずに戻すことはありません。

 開けなければ、どこへ戻すか分かりませんから。


 この一通は、開けてありませんでした。


 開いていないものが棚にあるというのは、私が担当を始めてからは、これが初めてです。

 誰かが置いたのだと思いますが、置いたのなら、記録も一緒に書くはずです。


――――――――――――――――


 封筒は、当課で開いた。


 中は、通知が一部。

 用紙は二枚、三つに折ってある。


 ██課からは、戻ってきた十一通の写しが送られてきた。

 それと同じ様式、同じ枚数である。


 通知の差出人の欄には、██課の名がある。

 個人の名は入らない。


 封筒の外側に、課の名は無い。


 表には、百十円ぶんの切手が貼ってある。

 受払簿にある二枚目の額と、同じである。


 消印は、その月のものだった。

 差し出した日は、受払簿の二日あとの側と一致した。


 届いたことになった日は、差し出した日の、十日ほど前である。


 ――届いたことになってから、十日ののちに、同じ通知が郵便で出ている。

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