報告書③ 番号簿
三通目は、相談票の番号を管理している簿冊の写しである。
票を作るときに番号を取り、簿冊に順に書き入れる。
番号は年度ごとに一からとる。
――――――――――――――――
第五百十九号 (完結済み・年限到来・廃棄済み)
第五百二十号 欠番
第五百二十一号 (完結済み・年限到来・廃棄済み)
欠番の処理は、番号を発行したのちに票が作られなかった場合に行う。
処理者の記名あり。
――――――――――――――――
当該の票の番号は、第五百二十号である。
簿冊の上では、その票は作られていない。
前後の番号は正しく並んでいる。
第五百十九号は十三年前の十月の上旬、第五百二十一号は同じ月の中旬に作られ、どちらも翌年のうちに完結して、年限が来たので既に廃棄されている。
抜けているのは、この一つだけである。
番号簿は差し替えのきかない綴じ簿冊で、一行ずつ順に書き入れる。
欠番の行だけを後から挿し込むことはできない。
欠番の処理をした者は、当時の相談室の係長で、既に退職している。
所在を確認し、話を聞いた。
覚えていない、とは述べなかった。
欠番にしたのは票が作られなかったからだ、と述べた。
作られていれば番号は生きるし、作られなければ欠番にする。
それ以外の扱いは無い、とも述べた。
当該の票を見せると、番号のところをしばらく見て、それから、これは自分が欠番にした番号だ、と述べた。
二つとも本当なら、票は、番号を欠番にしたあとに作られたことになる。
一度欠番にした番号は、以後どの票にも使えない。
使えない番号が、票に書いてある。
――四通目は、相談者との面会の記録である。




