報告書④ 相談者との面会
四通目は、当課の照会に基づき、██町の住所で行われた面会の記録である。
応対は本人が行った。
――――――――――――――――
――こちらの市への転入を予定しておられますか。
はい。
――時期はお決まりですか。
いつごろになるか、伺いに来ているだけです。
――どなたを、お待ちですか。
そのうち参ります。
――お一人でしょうか。
(回答なし)
――十三年、伺っておられます。
まだ、来ておりませんので。
――――――――――――――――
面会は自宅の玄関先で、三十分ほどであった。
そのあいだ、態度に変わったところは無かったという。
座って話すことも、中へ入れることも、断られている。
この者は██町に十三年より前から住んでおり、住民記録も続いている。
██市に親族が住んでいた記録は無い。
土地も家屋も持っていない。
市内に勤めた記録も、通った学校も無い。
十三年前の十月に何かがあったかを尋ねたが、特にありません、と答えた。
なぜ██市なのかを尋ねると、近いので、と答えた。
██町から██市までは、たしかに近い。
もっと近い市が、ほかに二つある。
面会に立ち会った者は、応答が短いことのほかに、気になったことは無いと書いている。
訊けば答え、訊かないことは言わない。
役所の窓口で相手が困る種類の人ではない、とも書いている。
転入は、来る側の手続きである。
この市には、来ることになっている人がいる。
十三年、来ていない。
――五通目は、書いた五人への照会である。




