報告書③ 解析
三通目は、事務的な筆致で始まる。
██―████、あの番号への発信履歴を、県内全域の回線から抽出し、時系列で並べた、解析担当の所見である。
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当該番号への発信履歴を、全七十四件、抽出した。
以下、所見を記す。
まず、発信者の照合を行った。
七十四件のうち、日付の古い側、五十一件。
発信者は、いずれも、故人であった。
既に亡くなっている人物の回線から、あのボックスへ、架けられていた。
死亡日時と、発信日時を突き合わせると――発信は、いずれも、その人物が亡くなる、数日前。
つまり、これは死者からの発信ではない。
まだ生きていた被害者が、自ら、あのボックスへ、架けた履歴だ。
本人に、その記憶はない。
だが、履歴だけが、残っている。
被害者は、死んだ肉親から「架けてこられた」あと、自分でも気づかぬうちに、あのボックスへ「架け返して」いた。
そして、数日後に死ぬ。
順番に。
次に、残る二十三件。
これらは、まだ、発信者が生きている。
この二十三件を、日付順に並べた。
並べて、手が止まった。
日付が、未来にまで、続いていた。
まだ来ていない日付の発信が、既に、記録されている。
会いたいと、強く願った、その順に。
これは、履歴ではない。
順番待ちの、名簿だ。
――そして、その二十三件の、下から数えて三番目に。
当課の、内線番号があった。
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当課の、内線。
私は、この一行を、何度も読み返した。
順番待ちの名簿に、我々の番号が載っている。
しかも、まだ「架けられていない」側に。
つまり、これから、だ。
誰の内線か。
解析担当は、そこまでは、特定していない。
だから、私が、照合した。
四通目は、その照合の結果を書いた、私自身の記録である。




