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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇二 十一時の電話ボックス

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報告書③ 解析

 三通目は、事務的な筆致で始まる。

 ██―████、あの番号への発信履歴を、県内全域の回線から抽出し、時系列で並べた、解析担当の所見である。


――――――――――――――――


 当該番号への発信履歴を、全七十四件、抽出した。

 以下、所見を記す。


 まず、発信者の照合を行った。

 七十四件のうち、日付の古い側、五十一件。


 発信者は、いずれも、故人であった。

 既に亡くなっている人物の回線から、あのボックスへ、架けられていた。


 死亡日時と、発信日時を突き合わせると――発信は、いずれも、その人物が亡くなる、数日前。


 つまり、これは死者からの発信ではない。

 まだ生きていた被害者が、自ら、あのボックスへ、架けた履歴だ。


 本人に、その記憶はない。

 だが、履歴だけが、残っている。


 被害者は、死んだ肉親から「架けてこられた」あと、自分でも気づかぬうちに、あのボックスへ「架け返して」いた。

 そして、数日後に死ぬ。


 順番に。


 次に、残る二十三件。

 これらは、まだ、発信者が生きている。


 この二十三件を、日付順に並べた。

 並べて、手が止まった。


 日付が、未来にまで、続いていた。

 まだ来ていない日付の発信が、既に、記録されている。


 会いたいと、強く願った、その順に。

 これは、履歴ではない。


 順番待ちの、名簿だ。


 ――そして、その二十三件の、下から数えて三番目に。


 当課の、内線番号があった。


――――――――――――――――


 当課の、内線。


 私は、この一行を、何度も読み返した。

 順番待ちの名簿に、我々の番号が載っている。


 しかも、まだ「架けられていない」側に。

 つまり、これから、だ。


 誰の内線か。

 解析担当は、そこまでは、特定していない。


 だから、私が、照合した。


 四通目は、その照合の結果を書いた、私自身の記録である。

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