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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇二 十一時の電話ボックス

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報告書④ 記録分析官(前任)の記録

 四通目は、報告書ではない。

 私自身の、覚書だ。


 ①から③までを綴じ終えた私が、この事案の末尾に、書き加えておく。


――――――――――――――――


 ③の名簿に載っていた、当課の内線。

 誰のものか、照合した。


 書きたくない。

 だが、記録は、残さねばならない。


 あれは、私の、内線だ。


 信じたくなくて、私は、自分の携帯電話の、発信履歴を開いた。

 私は、あんなボックスに、架けた覚えは、ない。


 一度も。


 ――履歴に、██―████への発信が、七件、残っていた。


 いちばん古いものは、二か月前。

 ちょうど、前の事案の――トンネルの綴りを、私が、書き写していた頃だ。


 あの記録を書きながら、私は、もう会えない誰かのことを、思い出していた。

 強く。


 ほんの少し、会いたいと、思った。


 それだけで、じゅうぶんだったのだ。


 いちばん新しい発信は、昨夜。

 私は、架けていない。


 眠っていた。

 だが、履歴は、通話時間まで、記録している。


 四十七分。

 私は、四十七分、誰かと、話していたことになっている。


 今夜、二十三時十一分。

 次の着信予定が、名簿に載っている。


 私の、番号で。

 あと、二時間。


 私は、もう、戻れないのだろうか。


――――――――――――――――


 ※以上で、前任の記録分析官による記述は、途絶えている。

 同人は、この夜を最後に、出勤していない。


 以下の一通は、後任が引き継いだ記録である。

 ――記録係

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