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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇一三 二度目の橋

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報告書② 橋梁台帳

二通目は、██市の橋梁台帳の写しおよび関係する記録である。


――――――――――――――――


市が管理する橋は二百一橋。

台帳は一橋につき一葉。


位置、水路の名称、橋長、幅員、構造形式、架設年度、施工者、点検の履歴を記載する。


架け替えを行った場合は、新たに一葉を作成し、従前の葉は廃棄簿冊へ移す。

移送の記録は年度ごとに残る。


当該の橋の葉は二葉ある。

いずれも現用の簿冊に綴じてある。


十四年前の架け替えに際しては、従前の葉が廃棄簿冊へ移されている。

当該年度の移送記録に残る。


二葉目が作られた九年前の年度には、移送の記録が無い。


一葉目。

架設年度は十四年前の年度。


構造形式は、場所打ち鉄筋コンクリート床版橋。


二葉目。

架設年度は九年前の年度。


構造形式は、プレキャストコンクリート床版橋。


両葉とも、位置は同一。

水路の名称、橋長四・二メートル、幅員二・〇メートル、床版厚〇・二五メートルの記載は一致する。


両葉とも、作成、確認、決裁の欄が埋まっている。

押印はいずれも当時その職にあった者のもので、様式に不備は無い。


点検の履歴は、一葉目に三回、二葉目に二回。

市の点検の周期は五年である。


いずれも実施の記録が別に残り、実施日の重複は無い。


両葉とも、記載の訂正および抹消の跡は無い。

点検の履歴は、実施のつど書き加えられている。


筆跡は、いずれもその年の担当者のものである。


――――――――――――――――


台帳は、一つの橋に一葉である。

二葉あるなら、片方は誤りである。


誤りのほうには、決裁の印が無いか、日付が合わないか、記載が現地と違うか、そのどれかがある。

仕事のうえで、そう教わってきた。


どれも無い。


――三通目は、二件の工事に係る書類である。

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