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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇一三 二度目の橋

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報告書① 道路管理担当の聞き取り

一通目は、その申し立てである。

担当者が聞き取って書き起こした。


――――――――――――――――


私は、██市で、道路の維持管理の仕事をしています。

橋の台帳も、私の受け持ちです。


台帳を電子化することになりまして、本年から、原簿を一葉ずつ点検しています。


その途中で、同じ台帳番号の葉が二葉出てきました。

水路をまたぐ、四メートルほどの橋です。


台帳は差し替え式です。

架け替えがあれば古い葉を抜いて、新しい葉を入れます。


抜いた葉は別の簿冊に移します。

二葉が同じ場所に入っていることは、ありません。


片方は十四年前の年度、もう片方は九年前の年度に作られていました。

どちらも決裁が済んでいます。


古いほうを抜き忘れたのだと思いました。

それなら、たまにあることです。


現地を見に行きました。

橋は一つでした。


戻ってから、二葉を並べました。

寸法も、位置も、どちらも現地と合っています。


同じ課の先輩に訊きました。

その橋なら自分が架けた、と言われました。


十四年前の話でした。


別の者にも訊きました。

その橋なら自分が架けた、と言われました。


九年前の話でした。


どちらかの記憶違いだと思って、工事の書類を出してもらいました。


両方、ありました。

業者も違います。


工期も違います。

完成写真も、それぞれ付いています。


どちらの写真も、あの橋に見えます。


――――――――――――――――


抜き忘れであれば、葉は二葉、橋は一つ、工事は一件である。


工事が二件ある。


――二通目は、橋梁台帳そのものの写しである。

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