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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇一一 先に数えてある

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報告書⑥ 経過の記録

六通目は、経過の記録である。


――――――――――――――――


装置の日ごとの記録は二百八十五日ぶんで、それ以降は無い。

最後は前年五月二十日から数えて第二百八十五日、本年二月二十八日である。


突合の続きは、第二百四十六日から第二百八十五日までの四十日ぶんである。

合計は二百十一。


うち六日は〇で、日報の側の水曜日の位置に対応する。


日報の側で第二百八十五日にあたるのは、本年十二月十日である。


点検以後、十月三十一日までに装置が計数した数は無い。

同日まで、日報と記録は一日も外れていない。


館の運営に支障は無い。

申立人は、市への報告に日報の数値を用いることとし、装置は据え置いた。


取り外せば、残りが読めなくなる。


――――――――――――――――


処理の欄に経過観察と書いてから、処理票を書いた。

分類の欄には、先に書いたとおり、保留とある。


十二月十日を過ぎたのち再度照会する、と書き添えた。

その日に誰が読むのかは、書き添えていない。


館の側では、もう終わっている。

数え方は日報に一本化され、報告は通る。


装置は壁に付いたままだ。

困っている者は、もういない。


十二月十日に何が起きるのかは、ファイルのどこにも書かれていない。

装置は、その先を持っていない。


持っていないだけで、終わりだとは書いていない。


その日、館は開いている。

水曜ではない。


受付の当番は、いつもどおり数える。

合わせる相手が、無いだけである。


書庫は、終わったものを置く場所である。

このファイルは送らない。


十二月十日まで、机に置く。


処理票の収受の欄を埋めた。

表紙の日付を書き写すだけだ。


十二月十日、とある。


今日は、十一月一日である。


装置に残っているのは、四十日ぶんである。

表紙の日付までも、四十日ある。

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