報告書⑤ 来館者への照会
五通目は、再開後の来館者に対する照会の結果である。
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再開日から十月三十一日までの来館者のうち、団体の申込書または感想記入帳により連絡先の判明した三十名に対し、照会を行った。
三十名はいずれも実在し、所在が確認された。
来館の理由は、近隣の用事のついで、児童の課題、地域の歴史への関心など、それぞれ異なる。
相互の面識は、同一団体の構成員を除き、無い。
来館の日を事前に決めていた者は、団体の引率者を除き、無い。
三十名のうち、当館が来館者数をどのように数えているかを知っていた者も、無い。
団体の来館は期間中に十一件である。
いずれも事前の申し込みによる。
申込書の受理日は、装置の当該日の数値が記録された日より後である。
十一件のすべてについて同様である。
感想記入帳の記載は、期間中に六十三件である。
展示および設備に関するものであり、来館者数、計数、入り口の装置に触れた記載は無い。
館の周辺で、同期間に人の出入りに関する届出、苦情、目撃の申し出は確認されていない。
装置の記録に氏名の記載は無い。
記録されているのは、日付と人数のみである。
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誰も選ばれていない。
三十名から共通するものは何も出てこなかった。
数だけがある。
名前が無い。
名前の無い数は、誰のものでもない。
誰のものでもない数が、二百八十五日ぶん、先にあった。
行く先を決めていない人が、決めていないまま、その日の数に収まっていく。
――六通目は、その後の経過である。




