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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇一一 先に数えてある

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報告書② 計数器の記録

二通目は、装置に記録されていた数値の照会結果である。


――――――――――――――――


装置は赤外線式の計数器で、入り口の内側の上部に一基。

入館方向の通過のみを検知し、日ごとの合計を内部に保存する。


読み出しは接続した端末への印字による。

装置に数値を書き込む機能は無い。


設置は八年前、以後、交換および修理の記録は無い。


休館期間は前年五月二十日から本年二月二十八日までの二百八十五日である。

この間、入り口は施錠され、鍵は管理人と施工業者が各一本を保管した。


施工業者への照会により、作業員の出入りはすべて建物北側の通用口によるもので、入り口の通行は無い。

管理人も同様である。


装置には、二百八十五日ぶんの日別の数値が記録されている。

合計は一千四百六十二である。


うち四十一日は〇であり、残る二百四十四日にはいずれも数値がある。

一日あたり最少一、最多二百三十七。


印字されるのは日付と人数のみで、時刻の記録は無い。

管理人が休館期間中に読み出した控えは九枚あり、当課が受領した記録と一致した。


月報の来館者数は、九か月とも〇である。


当館は水曜日を休館日とし、年末年始は十二月二十九日から一月三日まで閉館する。

休館期間の暦において、記録上の四十一日の〇は一日も水曜日にあたらない。


年末年始の六日についても、五日には数値がある。


――――――――――――――――


閉めてある入り口を、九か月のあいだ、誰も通っていない。

装置は二百八十五日ぶん、数えている。


書き込む手段は無い。

壊れてもいない。


休んでいるあいだも、月に一度、数を出せと様式が言っていた。

管理人は従って読み出し、〇と書いて出した。


数えろと言ったのは、こちらである。


――三通目は、この数値と、再開後の実績との突合である。

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