報告書⑥ 経過
六通目は、経過の記録である。
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申立人は、三月末をもって班長の任期を終えた。
第四班の順により、次の班長は隣家の者である。
申立人は、十二冊目の申し送り帳の最終頁に、次のように書いた。
「抜かないでください。抜いたら、自治会館へ届けてください。」
四月に入ってからの回覧は三回である。
うち二回に、訃報の混入が確認された。
新しい班長は、いずれも当日中に自治会館へ届けている。
二枚とも、旧様式である。
裏の受領欄は、十二戸ぶんすべてが埋まっている。
照会期間の後、二月および三月の回についても確認した。
混入は無い。
当課に届いたのは、取り下げの届ではない。
申立人の欄だけを書き換えた、同じ申立書である。
申立人が替わったため、当課の収受簿には新たな受付番号が付されている。
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処理票を出した。
分類の欄に、異常なし。
処理の欄に、事案終了。
判を押した。
記録に無く、遺族も回らなかったと言い、住民は見ていない。
印は合うが、押した者がいない。
出てきたのは、それだけ。
異常なし、と書く以外に、書きようが無い。
閉じられるのは、この番号までである。
同じ紙が、別の番号で、もう受け付けられている。
班長は替わり、中身は一字も変わっていない。
私は、それをまた読むことになる。
表紙に、一行を足した。
「ご覧のうえ、次の方へお回しください」
十九枚の表に刷ってあるのと、同じ一文である。
書き写した。
九名のうち三名がそうしたのと、同じことをした。
ファイルを、受渡しの棚へ置いた。
棚は、記録室の出口の脇にある。
置いて、席に戻れば、もう見えない。
回した先でそれがどうなるのかを、私は知らないままでいる。




