報告書⑤ 申し送り
五通目は、班長の申し送り帳についての照会と、その結果である。
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申し送り帳は、班長が任期の終わりに書いて次へ引き継ぎ、引き継ぎののち自治会館の書庫へ納める帳面である。
一年に一冊。
現存は十一冊、十一年分。
それ以前は残っていない。
十一冊のうち十冊の最終頁に、同一の一文がある。
筆跡は十名それぞれのものである。
「回覧に、覚えのない一枚が入ることがあります。抜いて、処分してください。」
十一名のうち、九名と面会した。
うち三名は既に第四班を転出しており、転出先で会っている。
九名とも、その一文を自分が書いたことを覚えていた。
何を抜き、何を処分したのかを述べた者は、いない。
九名のうち三名は、前の年から書き写しただけだと述べた。
残る六名は、書き写したかどうかを覚えていない。
一名は照会期間中に転出し、所在が確認できない。
報告書④の一戸と同じ世帯である。
残る一名とは、面会していない。
六年前に死亡している。
この一名が、最も古い一冊を書いた者、すなわち十一年前の班長である。
文言が異なるのは、この一冊だけである。
「入っていたら、抜いてください。読まなくていいです。」
十九枚のうちの一枚に、この人物の氏名がある。
没年は六年前。
裏の受領欄は、他と同じく埋まっている。
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抜けと書いた人が、抜かれる側にいる。
十一年前に何があったのかは、記録から出てこない。
それより前の分も見たが、手がかりは無い。
読まなくていいです、と書いてある。
読むな、ではない。
十九枚に刷ってあるのは、名前と、日付と、場所だけである。
読む価値は、たしかに無い。
その人の名前も、その中にある。
――六通目は、その後の経過である。




