報告書③ 部屋
三通目は、三〇四号室の現地確認と、建物の設備台帳の記録である。
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三〇四号室は、二間と台所の間取りである。
玄関の右手に便所、奥が台所、続いて六畳と四畳半。
浴室は無い。
██荘は、建築当初、全戸が風呂無しの設計である。
近隣の銭湯を利用する前提で建てられた。
その銭湯は九年前に廃業しており、徒歩圏に入浴施設は無い。
他の住戸は、それぞれの費用で浴室を設けるか、設けずに住んでいる。
台帳によれば、三〇四号室にのみ、十二年前、浴室の増設が行われている。
台所の一部を仕切り、給湯器と洗い場を設けたものである。
同じ台帳に、七年前、当該浴室の撤去が記載されている。
給湯器は取り外され、給水と排水の管は、いずれも閉塞処理がなされている。
写真が添付されており、処理の状況は確認できる。
現在、その位置は物入れである。
棚板が二枚、渡してある。
室内を確認した。
乾いている。
結露も、かびの発生も、水の跡も認められない。
閉栓されており、メーターは動いていない。
天井、壁、床下を点検した。
三〇四号室は最上階で、上階は無い。
屋上の貯水槽からの配管は他の住戸と同一系統だが、当該住戸への分岐は閉じられ、水抜きがなされている。
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浴室があったのは、五年間である。
十二年前に作られ、七年前に無くなった。
前の入居者が退去したのは、四年前だ。
撤去から退去まで、三年ある。
その三年、この人は風呂の無い部屋に住んでいたことになる。
銭湯は既に無い。
音を聞いている六名のうち、五名は撤去より後の入居である。
あの部屋に浴室があったことを、知らない。
――四通目は、その音を録音した記録である。




