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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇九 きのうの雨

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報告書② 申し出の記録

二通目は、管理人の受付簿と、気象台の観測記録とを突き合わせた、照会の結果である。


――――――――――――――――


照会したのは十一か月分。

受付簿は一件につき一枚の様式で、音を聞いたという申し出は二十二件ある。


申し出た住民は六名、五戸である。

三〇四号室に接する三〇三号室と三〇五号室、真下の二〇四号室、およびその両隣の二〇三号室と二〇五号室。


二〇三号室からは二名が申し出ている。


六名は互いに親しくなく、四名は、他の住民が同じ申し出をしていることを知らなかった。

申し合わせの形跡は無い。


二十二件の日付に重複は無い。

同じ夜に二人が申し出た例は、一件も無い。


音の時刻は、二十二件のうち十九件が、二十二時から翌二時の間である。

継続時間は、いずれも四分から六分と述べられている。


同建物には、ほかに空き室が二戸ある。

二階に一戸、一階に一戸。


いずれについても、音の申し出は無い。


最寄りの観測点における、同期間の降水日は八十九日である。


音のあった二十二日は、そのすべてが、降水のあった日の翌日にあたる。

例外は無い。


ただし、降水の翌日に必ず音があるわけではない。


日降水量で分けると、対応がつく。

十ミリを超えた日は同期間に二十二日あり、そのすべての翌日に音の申し出がある。


十ミリに満たない日の翌日には、一件も無い。


――――――――――――――――


十ミリというのは、傘を差さずには歩けない雨である。


濡れて帰る雨、と言ってもいい。


その翌日に、あの部屋で、水の音がする。


空き室は三戸あり、鳴るのは一戸だけである。

配管の共鳴なら、系統を同じくする他の住戸にも出る。


出ていない。


――三通目は、その部屋の現地確認と、設備の記録である。

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