報告書② 申し出の記録
二通目は、管理人の受付簿と、気象台の観測記録とを突き合わせた、照会の結果である。
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照会したのは十一か月分。
受付簿は一件につき一枚の様式で、音を聞いたという申し出は二十二件ある。
申し出た住民は六名、五戸である。
三〇四号室に接する三〇三号室と三〇五号室、真下の二〇四号室、およびその両隣の二〇三号室と二〇五号室。
二〇三号室からは二名が申し出ている。
六名は互いに親しくなく、四名は、他の住民が同じ申し出をしていることを知らなかった。
申し合わせの形跡は無い。
二十二件の日付に重複は無い。
同じ夜に二人が申し出た例は、一件も無い。
音の時刻は、二十二件のうち十九件が、二十二時から翌二時の間である。
継続時間は、いずれも四分から六分と述べられている。
同建物には、ほかに空き室が二戸ある。
二階に一戸、一階に一戸。
いずれについても、音の申し出は無い。
最寄りの観測点における、同期間の降水日は八十九日である。
音のあった二十二日は、そのすべてが、降水のあった日の翌日にあたる。
例外は無い。
ただし、降水の翌日に必ず音があるわけではない。
日降水量で分けると、対応がつく。
十ミリを超えた日は同期間に二十二日あり、そのすべての翌日に音の申し出がある。
十ミリに満たない日の翌日には、一件も無い。
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十ミリというのは、傘を差さずには歩けない雨である。
濡れて帰る雨、と言ってもいい。
その翌日に、あの部屋で、水の音がする。
空き室は三戸あり、鳴るのは一戸だけである。
配管の共鳴なら、系統を同じくする他の住戸にも出る。
出ていない。
――三通目は、その部屋の現地確認と、設備の記録である。




