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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇九 きのうの雨

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報告書① 証言

一通目は、管理人からの申し立てである。

担当者が聞き取り、書き起こした。


――――――――――――――――


私は、██町の██荘で、管理人をしています。

住み込みではありません。


週に三度、通いで、掃除と点検をしています。


三階建てで、十八戸あります。

築四十二年です。


三〇四号室は、四年前から空いています。

前の方が出られてから、次が決まっていません。


音のことを最初に言ってきたのは、真下の二〇四号室の方でした。


夜中に、上でシャワーを使っている音がする、と。


空き部屋ですよと申し上げました。

でも、聞こえると言うんです。


それも、毎晩ではない。

ときどきだと。


はじめは、二〇四号室の方の勘違いだと思っていました。

あの方は夜勤明けで、昼に寝ておられます。


寝起きに聞く音は、当てになりません。


そのうち、隣の三〇三号室の方からも言われました。

三〇五号室の方からも。


私も、泊まって確かめました。

折りたたみの椅子を廊下に出して、待ちました。


聞こえました。


水が、勢いよく壁に当たる音です。

細かい水が、まとまって落ちてくる音。


浴室の戸を閉めていても外に漏れる、あの音です。


鍵を開けて、入りました。

誰もいません。


何の音もしない。

廊下に出ると、また聞こえる。


三度、出たり入ったりしました。

中に入ると止まる。


廊下に出ると鳴っている。


私は、あの部屋の鍵を持っています。

管理人ですから。


それでも、中では鳴らないんです。


――――――――――――――――


管理人は、住民の申し出を受けた日から、日付を控え始めている。


自分で確かめてから届け出るまでに、七か月かかっている。


――二通目は、その控えを照会した結果である。

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