報告書⑥ 経過
六通目は、経過の記録である。
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十五回目の棚卸しが、今月末に行われた。
受付簿の残数と、棚の現物の点数は、一致した。
差は、ない。
名入りの湯呑みは、前月末、十一回目の処分として搬入されている。
翌月の棚に戻っていないのは、十四か月のあいだで、これが初めてである。
受付簿の末尾、拾得者不明の発見品を書き足してきた欄は、当月、一行も埋まっていない。
これも、十四か月で初めてである。
残る十三点は、棚にある。
うち、受付から三か月を経過した十一点は、当月、処分簿に記載のうえ搬入した。
翌月の棚卸しは、来月末である。
搬入した分だけ、棚の左端に空きができている。
担当者は、そこに何も置いていない。
数が合ったという報告をもって、申し立ては、取り下げられた。
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合った。
十四か月のあいだ一度も合わなかった数が、合った。
センターの棚から、一点、無くなったからである。
無くなった物の行き先を書く欄は、受付簿にも、処分簿にも無い。
返還か、処分か、様式はその二つしかない。
どちらでもないものを書く欄は、この課の処理票にも、無い。
書く形が無いものは、事案にならない。
事案にならないものは、誰にも読まれない。
前にも、書かないことで何かが止まると思ったことがある。
止まらなかった。
だから、これは、期待ではない。
書く欄が無い、というだけのことだ。
私は、処理票を書いた。
判は、分類の欄と処理の欄を埋めてから押す。
異常なし。
事案終了。
そう書いたうえで、押した。
湯呑みは、机の右手にある。
書類を読むあいだ、私は幾度もそれに手を伸ばす。
今日も、伸ばした。
底の姓は、私のものではない。
保管室の数は、合っている。
合わないものが、こちらに、一点ある。




