報告書⑤ 分析官の記録
五通目は、私自身の記録である。
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差の十四点について、写真の照合を行った。
月ごとに撮影された保管室の棚の写真は、十四か月分、計十四葉である。
名入りの湯呑みは、十四葉のすべてに写っている。
差として最初に現れた一点であり、以後、四か月目からは月ごとに処分されながら、十四か月のあいだ棚にあり続けたことになる。
湯呑みは、白の無地である。
高さ、口径ともに、市販の量産品と一致する。
底の外側に、黒の油性で、姓が書かれている。
印刷ではなく、手による書き入れである。
書き入れの位置は、底の中央から、わずかに右へ寄っている。
二画目の払いが、途中で一度、切れている。
私は、写真を、机の上に置いた。
机の上には、湯呑みがある。
白の無地である。
裏を返して、底を確かめた。
黒の油性で、姓が書かれている。
位置は、中央からわずかに右。
二画目の払いが、途中で一度、切れている。
底の姓は、私のものではない。
差の十四点に記された氏名のうちの、一つである。
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棚の写真は、十四葉ある。
机の上のそれは、一つである。
両方が成り立つ書き方を、私は持っていない。
この記録室に、備品の湯呑みは無い。
茶器は給湯室の共用と決まっていて、個人の湯呑みを机に置いている者は、ここには、いない。
持ち主の名が書いてあり、その持ち主が取りに来ない物のことを、あの施設では、忘れ物と呼ぶ。
――六通目は、その後の経過である。




