報告書③ 申出書
三通目は、十四名に対する照会の結果と、そののちに提出された引き取り辞退の申出書に関する記録である。
担当者の要旨を付す。
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十四点に記された氏名について、市内の住民記録と照合し、住所地を訪問した。
十四名は全員実在し、全員が市内に居住しており、全員と面会できた。
就労、通院、家族構成のいずれにも、届け出と食い違う点はない。
面会の場で現物を示したところ、十四名とも、自分の物ではないと述べた。
名は確かに自分の姓である。
ただし、そういう字を書く癖が自分にあるかどうかは分からない、と十四名が述べている。
その物を持っていた覚えも、ない。
家族の同席があったのは十名で、十名の家族はいずれも、そのような物は見たことがないと述べた。
センターの利用については、九名が、来館したことはないと述べた。
残る五名は、来館の記憶はあるが、いつだったかは思い出せないと述べた。
引き取りを求めたところ、十四名とも、これを辞退した。
辞退の意思は、後日、書面で提出されている。
書面は市の様式ではない。
便箋、封筒の裏、葉書と、体裁はまちまちである。
長さも、文面も、一様ではない。
ただし十四通のすべてに、次の意味の一文が含まれている。
――それは、うちの物ではありませんから、置いておいてください。
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十四人が、別々の紙に、別々の字で、同じことを書いた。
自分の名の書かれた物を、自分の物ではないと言う。
そのうえで、捨ててくれとは言わず、置いておけと言う。
置いておいてほしい、というのは、願いである。
取りに来ない、とは、誰も言っていない。
――四通目は、置いておかれた物を、施設が処分しようとした記録である。




