↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇八 置いておいてください

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
48/100

報告書③ 申出書

三通目は、十四名に対する照会の結果と、そののちに提出された引き取り辞退の申出書に関する記録である。

担当者の要旨を付す。


――――――――――――――――


十四点に記された氏名について、市内の住民記録と照合し、住所地を訪問した。

十四名は全員実在し、全員が市内に居住しており、全員と面会できた。


就労、通院、家族構成のいずれにも、届け出と食い違う点はない。


面会の場で現物を示したところ、十四名とも、自分の物ではないと述べた。

名は確かに自分の姓である。


ただし、そういう字を書く癖が自分にあるかどうかは分からない、と十四名が述べている。

その物を持っていた覚えも、ない。


家族の同席があったのは十名で、十名の家族はいずれも、そのような物は見たことがないと述べた。


センターの利用については、九名が、来館したことはないと述べた。

残る五名は、来館の記憶はあるが、いつだったかは思い出せないと述べた。


引き取りを求めたところ、十四名とも、これを辞退した。

辞退の意思は、後日、書面で提出されている。


書面は市の様式ではない。

便箋、封筒の裏、葉書と、体裁はまちまちである。


長さも、文面も、一様ではない。


ただし十四通のすべてに、次の意味の一文が含まれている。


――それは、うちの物ではありませんから、置いておいてください。


――――――――――――――――


十四人が、別々の紙に、別々の字で、同じことを書いた。


自分の名の書かれた物を、自分の物ではないと言う。

そのうえで、捨ててくれとは言わず、置いておけと言う。


置いておいてほしい、というのは、願いである。


取りに来ない、とは、誰も言っていない。


――四通目は、置いておかれた物を、施設が処分しようとした記録である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。