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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇八 置いておいてください

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報告書② 棚卸し

二通目は、受付簿と処分簿を突き合わせた、照会の結果である。


――――――――――――――――


照会したのは十四か月分である。

この間に、月末の棚卸しは、十四回行われている。


十四回すべてで、現物の点数が、受付簿の残数を上回っている。

差は、いずれの月も、一点である。


二点以上の差が生じた月はなく、差が出なかった月も、ない。


差として現れた物品は、月ごとに異なる。

十四か月で、計十四点である。


差の一点は、その月のうちに拾得者不明の発見品として受付簿へ書き足され、以後は帳簿上の在庫として扱われている。

処分して棚に戻った物も、その都度、書き足されている。


したがって各月に生じる差は、その月に新しく現れた一点のみである。


同期間の忘れ物の受付は、計五百八十二点である。

差として書き足した分は、これに含まない。


うち、持ち主の氏名が判明した物は、四十一点。

全体の、およそ七パーセントにあたる。


差の十四点は、十四点すべてに、氏名が記されている。


内訳は、名入りの湯呑み、名札、記名のある手提げ袋、柄に名を書いた傘、宛名の残る封筒、その他である。

いずれも市場価値のない日用品であり、貴重品として警察へ届け出るべきものには該当しない。


十四点の氏名は、いずれも判読可能である。

かすれた字も、読めない字も、一つもない。


――――――――――――――――


忘れ物というのは、たいてい、誰の物か分からない。

分からないから、預かるしかない。


十四点は、逆である。

誰の物かが、書いてある。


書いてあって、なお、誰も、取りに来ていない。


――三通目は、その十四名から、施設へ届いた書面の写しである。

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