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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇八 置いておいてください

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報告書① 証言

一通目は、██総合文化センターの管理課職員からの申し立てである。

担当者が聞き取り、書き起こした。


――――――――――――――――


私は、市立██総合文化センターの管理課で、庶務を担当しています。

忘れ物の受付と保管も、私の仕事です。


うちは、忘れ物の多い施設です。

催しがあった日は、一日で十点を超えることもあります。


受け付けたら、受付簿に書きます。

日付、拾った場所、品目。


それだけです。

名前が分かる物は、備考の欄に書きます。


書いたら、保管室の棚に置きます。

三か月、置きます。


三か月で誰も来なければ、処分簿に書いて、捨てます。

内規で、そう決まっています。


月末に、棚卸しをします。

受付簿の残りの数と、棚の現物の数を、突き合わせます。


一年と二か月前から、合わなくなりました。


棚の方が、多いんです。


数え直しました。

二人で数えました。


棚を全部おろして、床に並べて、品目を読み上げながら数えました。

何度数えても、一点、多いんです。


その一点は、受付簿に載っていません。

誰が、いつ、どこで拾ったのか、どこにも書かれていない。


その月からは、拾得者不明の発見品として、受付簿に書き足すことにしました。

捨てたはずの物が棚に出ているときも、気づいた日に、同じように書き足しています。


書き足せば、翌月の数は合うはずでした。


合いませんでした。


翌月も、一点多い。

書き足す。


その次の月も、また一点。


もう、十四回になります。


――――――――――――――――


数え間違いで済ませることを、この職員はしなかった。

棚の全体と、差の一点とを、月ごとに写真に撮り、寸法と特徴を控えている。


数え間違いであってくれた方が、この職員にとっては、よほど楽だったはずである。


――二通目は、その受付簿と、差の十四点を照会した結果である。

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