↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇七 回送

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/100

報告書⑥ 経過

六通目は、経過の記録である。


――――――――――――――――


先月の運行を最後に、未明の運行は、記録されていない。


今月は、一件もない。

ゲートの記録、燃料の量、車両の状態、いずれにも変化はない。


何かが変わった形跡は、確認できない。


再開発の工事は、予定どおりに進んでいる。

旧██台地区の建物は、すべて取り壊しが済み、更地になった。


造成は、これからである。


バス会社は、当該車両の運用を当面見合わせ、運行記録計を取り外して保管した。

精算機の履歴は、写しを本課で保全している。


十名の元住民については、その後、転居も傷病も届け出られていない。

暮らしは、続いている。


判読できない一枚についても、進展はない。

照会は、継続している。


止んだ理由は、特定できていない。

帰る先が更地になったから、と書けば、説明の形にはなる。


だが、運行が始まったとき、██台は、まだ更地ではなかった。

家々は建ったまま、無人になっていただけである。


説明は、時系列に合わない。


――――――――――――――――


止んだ。


この事案で、一番説明のつかない記録が、これである。


願った者が、願うのをやめたのか。

帰る先が更地になり、記録の中からも消えたのか。


どちらとも、書かない。

書けば、推測になる。


一つだけ、確かなことを書く。


二十九から二十八を引くと、一が残る。


判読できない一枚は、降りた記録がないまま、便の記録だけが止まった。


乗ったままで、便が、無くなったのである。


私は、処理票に、経過観察、と書いた。

判を、押した。


押しながら、考えていた。


無くなった便に乗ったままの一人は、いま、どの記録に載っているのだろう。


それとも、載る記録を、探しているのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。