報告書⑤ 分析官の記録
五通目は、私自身の記録である。
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十枚のカードについて、乗車回数を集計した。
最も多い者で五回、最も少ない者で一回である。
市の再開発事業の記録から、立ち退きに係る合意書の提出順を照会した。
乗車回数の多い順は、合意書の提出順の、逆と一致する。
最後まで判を押さなかった者から、順に、多く乗っている。
順番は、待つ者の強さで前後する。
この課の記録は、いつも、その形をしていた。
今度も、外れていない。
帰りたいと強く願った者から、順に、乗っている。
行先について、記す。
降車二十八件は、いずれも██台である。
██台は、もう無い。
無い停留所で降りる、という記録の意味を、記録から読むことは、できない。
ただ、降りた、という記録だけが、二十八回、残っている。
判読できない一枚について、記す。
読める桁の並びは、十枚のいずれとも一致しない。
カードの発行記録にも、該当は見つかっていない。
その一枚は、八か月前に一度、乗車の記録を残したきり、降りていない。
乗車の順序を確かめた。
八か月前の、一番はじめの運行である。
誰よりも、早く乗っている。
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願った者は、乗って、降りた。
帰る場所が、少なくとも記録の中には、ある、ということなのだろう。
降りない一枚だけが、分からない。
降りないのか。
それとも――降りる場所が、まだ、できていないのか。




