報告書④ 目撃
四通目は、目撃に関する記録である。
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運行が記録された日の未明について、沿線での目撃情報を照会した。
得られたのは、一件である。
新聞配達員の男性。
配達の経路が、旧██台地区のフェンス沿いを通っている。
以下、証言の要旨である。
フェンスの前に、バスが停まっているのを見た。
時刻は、五時より前。
ヘッドライトは点いていて、車内の灯りは消えていた。
行先表示は、回送、だった。
回送なのに、停まり方が、営業のバスだった。
標識柱はもう無いのに、昔、柱が立っていた場所に、前の扉を合わせて停まっていた。
エンジンの音は、聞こえなかった。
停まっているあいだも、走り出すところも、見ていない。
扉が開いたかどうかも、見ていない。
人も、見ていない。
気味が悪かったので、それからは、別の道を通っている。
証言の日付は、運行記録計に残る二十九回のうちの一回と、一致した。
なお、当該車両の行先表示器を確認した。
廃止時のデータ整理により、表示器の中身は「回送」を残して消去されている。
当該系統の系統番号も、「██台」の行先も、表示器には、もう入っていない。
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回送は、客を乗せないための表示である。
その表示のまま、柱のあった場所に、扉を合わせて停まる。
乗せないのではない。
表示できる行先が、もう、どこにも無いのだ。
――五通目は、乗車の順序について、私が照合した結果である。




