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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇七 回送

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報告書④ 目撃

四通目は、目撃に関する記録である。


――――――――――――――――


運行が記録された日の未明について、沿線での目撃情報を照会した。

得られたのは、一件である。


新聞配達員の男性。

配達の経路が、旧██台地区のフェンス沿いを通っている。


以下、証言の要旨である。


フェンスの前に、バスが停まっているのを見た。

時刻は、五時より前。


ヘッドライトは点いていて、車内の灯りは消えていた。


行先表示は、回送、だった。


回送なのに、停まり方が、営業のバスだった。

標識柱はもう無いのに、昔、柱が立っていた場所に、前の扉を合わせて停まっていた。


エンジンの音は、聞こえなかった。

停まっているあいだも、走り出すところも、見ていない。


扉が開いたかどうかも、見ていない。

人も、見ていない。


気味が悪かったので、それからは、別の道を通っている。


証言の日付は、運行記録計に残る二十九回のうちの一回と、一致した。


なお、当該車両の行先表示器を確認した。

廃止時のデータ整理により、表示器の中身は「回送」を残して消去されている。


当該系統の系統番号も、「██台」の行先も、表示器には、もう入っていない。


――――――――――――――――


回送は、客を乗せないための表示である。


その表示のまま、柱のあった場所に、扉を合わせて停まる。


乗せないのではない。


表示できる行先が、もう、どこにも無いのだ。


――五通目は、乗車の順序について、私が照合した結果である。

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