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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇七 回送

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報告書③ 聞き取り

三通目は、聞き取りの記録である。

担当者が要約した。


――――――――――――――――


記名カードの持ち主十名について、住所地を訪問し、聞き取りを実施した。


十名は、全員、旧██台地区の元住民である。


██台は、終点の停留所と同じ名を持つ住宅地区で、六年前、再開発事業により全戸が立ち退いた。

地区は現在、工事区域としてフェンスで囲われている。


十名とも、立ち退きの後は、市内の別の地区に居住している。

健康状態、生活状況に、異常は認められない。


未明にバスに乗った記憶がある者。

十名中、〇名。


十名のうち六名は、立ち退きの後、カードそのものを使っていないと述べた。

うち二名は、現物を紛失している。


残る四名のカードは、机の抽斗や、鞄の底から、そのまま出てきた。


一名は、こう述べた。


あの時間の便があったら、使っていたと思います。

勤めが朝早かったので。


でも、始発は五時半で、間に合わなくて、いつも駅まで歩いていました。


四時四十分という時刻に、心当たりのある者は、いない。


なお、十名の全員が、聞き取りの終わりに、同じ趣旨のことを述べている。

要約すると、次のとおりである。


「帰れるなら、帰りたい」


――――――――――――――――


乗った者は、いない。


乗りたかった者が、いるだけだ。

十名の願いは、いつのまにか、二十八件の乗車記録の形になっていた。


――四通目は、当該の時間帯に、それを見た者の記録である。

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