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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇七 回送

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報告書② 運行記録

二通目は、保全された記録の照会結果である。

担当者の覚書を付す。


――――――――――――――――


対象期間は八か月。

運行記録計に残る未明の運行は、計二十九回である。


発生は不定期で、月に一回から五回。

月を追うごとに、回数は増えている。


起点の発車は、いずれも四時四十分。

廃止前の時刻表に、この便は存在しない。


当該系統の始発は五時三十分であり、四時四十分発の便は、一度も運行されたことがない。


走行距離は、二十九回とも六・八キロ。

廃止された系統の、起点から終点までの営業距離と一致する。


所要は、いずれも二十分前後。

廃止前の平均所要と、ほぼ一致する。


速度の記録には、減速と停止の波形が、規則的に残っている。

波形の位置は、廃止前の停留所の位置と、合っている。


精算機の履歴は、乗車タップ二十九件。

うち二十八件は、記名式のICカード十枚によるものである。


同じカードが、複数回使われている。


十枚は、いずれも実在の利用者に正規発行されたものである。

氏名、生年月日、すべて登録されている。


残る一件のカード番号は、判読できない。

読める桁と、読めない桁がある。


読める桁の並びは、十枚のいずれとも一致しない。


降車タップは、二十八件。

すべて、十枚のカードと突合できた。


判読できない一枚に、降車の記録はない。


降車停留所は、二十八件すべて「██台」。

当該系統の終点であり、六年前、路線の廃止と同時に停留所ごと廃止されている。


標識柱も、撤去済みである。


――――――――――――――――


乗車が二十九、降車が二十八。

運賃は、一円も動いていない。


一件だけが、まだ降りていない。


――三通目は、十枚のカードの持ち主に当たった、聞き取りの記録である。

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