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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇七 回送

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報告書① 証言

一通目は、██営業所の運行管理者からの申し立てである。

担当者が聞き取り、書き起こした。


――――――――――――――――


私は、██営業所で運行管理者をしています。

点呼と、配車と、記録の管理が仕事です。


最初に気づいたのは、月次の集計のときでした。


運行記録計のデータに、知らない運行が、一件入っていました。


未明の、四時台です。

うちの始発は六時十分ですから、その時間に車両が動くことはありません。


車両番号を確かめました。

車庫の、一番奥に停めてある車です。


廃止になった系統で使っていた車両で、いまは予備車です。


その車が、六・八キロ、走ったことになっていました。


六・八キロというのは、覚えのある数字でした。

六年前に廃止した系統の、営業距離です。


起点から、終点まで。


車庫の出入りは、ゲートで記録されます。

その晩、ゲートは一度も開いていません。


燃料の量も、減っていません。


点呼の記録もありません。

当然です。


誰も、乗務していませんから。


翌月も、ありました。

その次の月は、二回。


言い忘れていました。

乗車の記録も、あるんです。


精算機に、ICカードの履歴が残っていました。

乗った人が、いるんです。


動いていない車に。


――――――――――――――――


管理者は、これを機械の故障として処理しなかった。

記録を消さず、月ごとに写しを取り、保全した。


故障なら、それでよかったはずである。

よくなかったから、ファイルが、ここへ来た。


――二通目は、その運行記録と乗車履歴を、照会した結果である。

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