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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇一 迎えトンネル

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報告書③ 調査員C

 三通目は、事務的な筆致で始まる。

 調査員C。


 前の二通とは、明らかに温度が違う。


――――――――――――――――


 報告書①および②の内容を受け、現地確認を行った。

 以下、所見を記す。


 全長、百二十メートル。

 実測値、資料と相違なし。


 照明設備は全て撤去済み。

 内部に人影、音声、その他異常存在の痕跡――いずれも確認されず。


 壁面に落書きはあるが、経年の悪戯の範囲を出ない。

 「帰れない」等の記述は、発見できなかった。


 録音機を二十四時間設置。

 回収し全編を確認したが、風音と滴下音のみ。


 人影も、人を呼ぶ声も、報告書①②に記載のごとき現象は、一切、記録されなかった。


 所見。

 当該隧道に、異常は認められない。


 ――ただし、一点、付記する。


 報告書①②の照合のため、当課の職員名簿を確認した。


 調査員A、調査員B。

 両名とも、当課には在籍していない。


 過去の在籍記録にも、業務委託の記録にも、その氏名は、存在しない。


 では、あの二通の報告書は、誰が書いたのか。

 筆跡鑑定に回した。


 結果を待っている。


 ――結果が出るまで、この件は保留とする。

 正直に書いておく。


 私はこの数日、帰宅すると、玄関の外に、誰かの足音を聞く。

 ドアを開けると、誰もいない。


 気のせいだ。

 そう思いたい。


 所見、変更なし。

 異常は、なかった。


――――――――――――――――


 名簿に、調査員Aも、調査員Bも、存在しない。


 これはCの発見であると同時に、私自身が確認した事実でもある。

 私はこの二人に、調査を発注していない。


 発注の記録も、決裁の判も、どこにもない。


 ではこの三通は、誰が書き、誰が私の机に積んだのか。


 その答えらしきものが、四通目にある。

 ただし、それを「報告書」と呼んでいいのかは、私にもわからない。

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