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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇六 ご不在でした

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報告書⑤ 返送記録

五通目は、保管期限が過ぎたあとの、経過の記録である。


――――――――――――――――


保管期限の経過に伴い、残る二十五件の状態が更新された。


 保管期限経過・差出人へ返送 二十五件


これにより、本事案に係る二十七件すべてが、返送済みとなった。


返送先は、いずれも██町七丁目二十四番地である。

当該番地は存在しない。


返送物の到達は、確認できない。


██号棟の管理人より、報告があった。

期限の経過後、不在連絡票の投函は認められない。


以後、一枚も入っていない。


住民四十二戸に、変化は認められない。

転居、失踪、傷病、いずれの届出もない。


なお、本課が回収し保管していた二十七枚について、返送日以降、所在を確認できない。


保管庫は施錠されており、出入りの記録はない。

持ち出しの記録もない。


現物がないため、記載内容の再確認は行えない。

本報告書の記述が、唯一の記録となる。


本件は、分類保留のまま、書庫へ送付する。


――――――――――――――――


棟の側は、終わった。

二十七枚は、存在しない番地へ帰り、投函は止んだ。


私は、処理票に判を押した。

押した手のことは、覚えている。


そのあとで、ファイルの一番下に挟まっていた、薄い紙を出した。


不在連絡票である。


差出人欄は、空。

品名欄も、空。


重量、〇・〇キログラム。

担当者の印は、はっきり読める。


宛先の欄には、この課の所在地と、記録室の番号が印字されていた。


ファイルの最後の頁に、記載の番号の、配達記録の写しが、綴じられていた。


私は、照会を、していない。


 配達完了


受領者の署名欄には、記入がある。


私の字である。


私は、再配達も、依頼していない。


依頼していないという記憶だけが、私に残っている。

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