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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇六 ご不在でした

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報告書④ 分析官の記録

四通目は、私自身の記録である。


――――――――――――――――


分類保留の判断を保持したまま、記録の性質について、以下を記す。


配達は、一方的には成立しない。

出す者と、受け取る者が要る。


どちらかが欠ければ、荷物は動かない。


本事案において、出した者の記録は、存在しない。


受け取った者の記録は、存在する。

二十五件。


受け取った側の記録だけが、残っている。


重量について、記す。

二十七枚すべてに、〇・〇キログラムと印字されている。


空欄ではない。

計量は、行われている。


行われたうえで、〇である。


運ぶ対象がなければ、伝票は起票されない。

起票されているなら、対象はあった。


対象があり、その重量が〇であるものを、二十五名が受け取っている。


再配達の依頼について、記す。

依頼とは、こちらから、もう一度来てくれと求める行為である。


依頼した二名に、荷物は届かなかった。

求めた側には、来ていない。


求めなかった二十五名は、受け取り済みである。


順番について、記す。

この課が扱う記録において、順番は、待つ者の側の強さで前後する。


強く求めた者が、先になる。


本事案は、その形になっていない。

求めた二名が、外されている。


理由は、記録からは読めない。


読める範囲で、一つだけ書く。


二十五名は、受け取った。

署名も済んでいる。


手続きは、完了している。


完了しているのに、誰も、覚えていない。


――――――――――――――――


私は、この一行を、何度も読み返した。


手続きは、完了している。


完了した手続きは、やり直せない。


やり直せないものは、争えない。

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