報告書③ 聞き取り
三通目は、聞き取りの記録である。
担当者が要約した。
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██号棟四十二戸を訪問し、聞き取りを実施した。
応答があったのは三十六戸である。
応答のなかった六戸について、管理人に確認した。
いずれも在宅時間が不規則な勤務者であり、転居および長期不在の届出はない。
不在連絡票を受け取った記憶がある者。
三十六戸中、〇名。
荷物を受け取った記憶がある者。
〇名。
署名した記憶がある者。
〇名。
配達記録に残る受領者の署名を、各戸の住民に提示した。
署名は、いずれも、その戸に住む者の氏名であった。
姓名の表記、字の崩し方、筆順の癖。
提示を受けた住民は、全員が、自分の字であると答えた。
一名は、こう述べた。
私の字です。
でも、書いた覚えがありません。
再配達を依頼した者は、二名であった。
いずれも、依頼後に荷物は届いていない。
窓口からの連絡もない。
この二名の票が、返送となった二件である。
二名について、健康状態および生活状況を確認した。
異常は認められない。
両名とも、現在も同所に居住し、勤務を続けている。
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依頼した二人には、届かなかった。
依頼しなかった二十五人は、受け取っている。
自分の字で、署名までしている。
私は、この事案を、どう分類すべきか、判断がつかなかった。
異常なし、とは書けない。
数字が合っている。
番号は有効で、署名は本人のものだ。
異常あり、とも書けない。
被害がない。
誰も欠けていない。
全員、無事に暮らしている。
分類保留とし、書庫へ送る。
そう、決めた。
決めたうえで、私は、一つの日付を見ていた。
返送となった二件に印字された、保管期限である。
残る二十五件にも、同じ様式で、期限が印字されていた。




