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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇六 ご不在でした

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報告書③ 聞き取り

三通目は、聞き取りの記録である。

担当者が要約した。


――――――――――――――――


██号棟四十二戸を訪問し、聞き取りを実施した。

応答があったのは三十六戸である。


応答のなかった六戸について、管理人に確認した。

いずれも在宅時間が不規則な勤務者であり、転居および長期不在の届出はない。


不在連絡票を受け取った記憶がある者。

三十六戸中、〇名。


荷物を受け取った記憶がある者。

〇名。


署名した記憶がある者。

〇名。


配達記録に残る受領者の署名を、各戸の住民に提示した。


署名は、いずれも、その戸に住む者の氏名であった。

姓名の表記、字の崩し方、筆順の癖。


提示を受けた住民は、全員が、自分の字であると答えた。


一名は、こう述べた。

私の字です。


でも、書いた覚えがありません。


再配達を依頼した者は、二名であった。


いずれも、依頼後に荷物は届いていない。

窓口からの連絡もない。


この二名の票が、返送となった二件である。


二名について、健康状態および生活状況を確認した。

異常は認められない。


両名とも、現在も同所に居住し、勤務を続けている。


――――――――――――――――


依頼した二人には、届かなかった。


依頼しなかった二十五人は、受け取っている。

自分の字で、署名までしている。


私は、この事案を、どう分類すべきか、判断がつかなかった。


異常なし、とは書けない。

数字が合っている。


番号は有効で、署名は本人のものだ。


異常あり、とも書けない。

被害がない。


誰も欠けていない。

全員、無事に暮らしている。


分類保留とし、書庫へ送る。

そう、決めた。


決めたうえで、私は、一つの日付を見ていた。


返送となった二件に印字された、保管期限である。


残る二十五件にも、同じ様式で、期限が印字されていた。

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