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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇六 ご不在でした

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報告書① 証言

一通目は、██号棟の管理人からの申し立てである。

担当者が聞き取り、書き起こした。


――――――――――――――――


私は、██団地██号棟の、管理人をしています。


最初に気づいたのは、十一か月前です。


集合ポストの、一番下の段に、紙が落ちていました。

不在連絡票です。


ご不在でしたので、お預かりしています、という、あの紙です。


拾って、部屋番号を見ました。

三〇二号室でした。


ポストに戻しておきました。


その次の日も、ありました。

別の部屋の分です。


一週間で、四枚になりました。


おかしいと思ったのは、枚数ではありません。

差出人の欄が、空だったからです。


品名の欄も、空でした。

重量は、〇・〇キログラムと、印字されていました。


担当者の印だけは、はっきり読めました。

██、と。


住民の方に、聞きました。

皆さん、荷物の心当たりはない、と言います。


間違いでしょう、と言って、捨てた方もいます。


配達を見た人は、いません。


うちの棟は、玄関に人の出入りが多いんです。

それでも、誰も、配達員を見ていません。


ポストは、玄関の内側にあります。

道からは見えません。


三月に、大雨が降った日がありました。

あの日も、票は入っていました。


濡れていませんでした。


私は、五棟すべての管理を任されています。

他の棟のポストも、毎日見ています。


██号棟だけです。

他の棟には、一枚も入りません。


私は、捨てずに、取っておくことにしました。

管理室の引き出しに、日付順に入れました。


十一か月で、二十七枚になりました。


――――――――――――――――


管理人は、枚数を数えていた。

数えて、取っておいた。


その判断が、この事案を、事案にした。


二十七枚。

私は、その数を、書き写した。


――二通目は、その二十七枚の追跡番号を、照会した記録である。

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