報告書⑥ 処理票
六通目は、当課の事案処理票である。
私が起案し、私が判を押した。
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【事案処理票】
事案番号 〇〇五
名称 市立██図書館 貸出記録に関する申し立て
調査結果
一、当該資料コードにおける貸出記録三十一件は、除籍処理時のコード重複による記録エラーと認められる。
二、端末の操作ログに対応する記録が存在しないことは、この判断を裏づける。
三、当該コードはシステムから削除し、貸出管理システムの更改を実施済み。
以後、同種の記録は発生しない。
四、棚に残存していた現物一冊は回収し、廃棄処理を完了した。
五、利用者十七名のうち、十六名については、生活上の実害は確認されていない。
六、貸出記録三十一件のうち一件は、当課の団体登録に含まれる利用者番号によるものである。
当該番号の使用者は、現在、所在を確認できていない。
所見 対処を完了した。
事案は終了とする。
分類 対処済
処理 事案終了
起案 記録分析官
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嘘は、書いていない。
――少なくとも、三項から先は。
コードは削除された。
システムは更改された。
本は回収され、焼却された。
灰の写真まで、添えられていた。
同じ記録は、二度と発生しない。
この事案については。
――更改後のシステムで、念のため、分館二館の貸出記録を、同じ条件で抽出した。
第一分館。
除籍済み資料コードでの貸出、三件。
返却日、いずれも空欄。
第二分館。
五件。
同じく、空欄。
資料は、それぞれ別の本である。
歌集ではない。
著者も、別の人物だ。
ただ、いずれも、著者が故人であった。
私は、この抽出結果を、報告書に添えた。
添えたので、確認のために、誰かが行く。
それが、この課の、仕事である。




