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特異事象調査記録  作者: モリタ・ハク
事案〇〇五 返却日は空欄

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報告書③ 聞き取り

三通目は、当該十七名に対する聞き取りの記録である。

担当者が要約した。


――――――――――――――――


十七名のうち、十六名について、住所地を訪問し、または勤務先に照会した。

残る一名は、登録された住所に居住の実態がなく、勤務先の記載もなかった。


十六名のうち、十三名について、同居家族または勤務先から、次の回答を得た。


「そのような人は、知りません」


残る三名については、同居家族、勤務先ともに、当該人物を認識していた。

この三名に、他の十三名との違いは、見いだせない。


十三名の側にも、生活の断絶は認められない。

勤務は継続し、給与は毎月支払われ、公共料金の引き落としも止まっていない。


本人と面会できたのは、十六名のうち、九名である。


以下、そのうち一件の状況を記す。


対象者は、六十代の男性である。

玄関に出てきて、応対した。


受け答えに不自然な点はなく、図書館の利用についても、記憶している範囲で答えた。

当該の本については、借りた覚えがない、と述べた。


聞き取りの途中、同居する家族が、廊下を通りかかった。


家族は、こちらを見て、こう述べた。


「どなたと、お話しされているんですか」


対象者は、その言葉に、反応しなかった。

聞こえなかったのか、聞き慣れているのか、判断がつかない。


家族は、対象者について、繰り返し「知らない」と述べた。

同居している事実についても、認識がなかった。


対象者本人には、異常を訴える様子は、見られない。


――――――――――――――――


借りた記録は、ある。


借りた人を、知る者が、いない。


――四通目は、その本が、何であったかについてである。

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