報告書① 照会
一通目は、市立██図書館の司書からの申し立てである。
担当者が聞き取り、書き起こした。
以下、原文のまま記す。
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私は、市立██図書館で、司書をしています。
勤めて、十四年になります。
蔵書点検のときでした。
年に一度、休館して、全部の本を、一冊ずつ確認する作業です。
先に、お断りしておきます。
郷土資料の棚は、この四、五年、改修工事で、点検から外れていました。
今年、元に戻したんです。
二人一組でやります。
片方が棚から抜いて、もう片方が、機械でバーコードを読む。
その日は、私が読む側でした。
郷土資料の棚に、記録にない本が、一冊ありました。
読ませたら、画面に、除籍済み、と出ました。
除籍というのは、蔵書から外すことです。
傷んだものや、何年も借りられていないものを、順番に整理します。
外したあとは、廃棄するか、希望者に譲るかします。
その本は、廃棄した記録が残っていました。
なのに、棚にありました。
それだけなら、手続きの間違いだと思ったはずです。
よくあることではありませんが、絶対にないとは言えません。
その場で、資料コードを引きました。
貸出の記録が、ずっと続いていました。
除籍したあとも、途切れずに。
返却の記録は、一件もありませんでした。
全部、貸出のままです。
返却日の欄が、空欄で。
――でも、本は、棚にあるんです。
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証言は、ここで終わっている。
借りられたまま返っていない本が、棚にある。
貸出の記録だけがあり、返却の記録がない。
それでいて、現物は、あるべき場所に戻っている。
――二通目は、その貸出記録を、抽出したものである。




