第16話 一難去って超弩級の災難
祝600Pt、20万PV、2万ユニーク!!
皆様のご愛顧にむせび泣きながら、甘味も頬張りつつ、今後もささやかながら本作を続けてまいります、不定期になってでも完結させて見せます。
次のお話は、5/22の19時です。
目を覚ますと、そこには知らない天井があった。
「……えっと、俺は…確か?」
エルライドたちが暗殺者に狙われていて、俺が慌てて追いついて、アッキーと組んで暗殺者を…そう、パイソンとかいう…俺の……。
「そうだっ、あいつを殺して―――っ!!」
むにゅんと―――何か、柔らかいものに触った。
布越しだけど少し丸みを帯びたどこかでこれに似たようなものに触った事があった気が……?
「…え、ちょっと待てよこれ…マジか?」
「―――んんぅ?」
ベットから起きようと布団をどかすと、何故か俺以外の声が聞こえて、声のした方へと視線を向けた。
柔らかそうな金髪に整えた事が無いのに綺麗な眉に長い睫毛、透き通った鼻梁にふっくらとした―――って、
「……エルライドに…む、胸が?」
パイソンの、復讐しようとしてボルテージが上がってきていたのに一気に冷め過ぎて心臓止まりそうだわ。
なんだこれ、どうしてこうなった?
あれ、エルライドって男だよな?
いや、ステータスはこれまで何か魔道具で見れなかったから見た目と格好で判断しかしていなかったけど、普通…男装ってアリ?
ま、まさか俺まだ夢とか見ていたり?
「…あれぇ…ユーリぃ?
おはよぉ…早いね起きるの」
頬を千切れる一歩手前まで引っ張ってみたが、痛い、軽く涙出てきた。
それよりも何この舌足らずな天使、超かわいい、男だ………いや。
エルライドは………男装している成人女子でした。
なんだこれ、どうしてこうなった?
これって何て不思議!?
何度でも言おう。
なんだこれ、どうしてこうなった!?
「おいエルライド、なんでここで寝てるんだ。
っていうか、お前それ…」
どうしよう、これ言っちゃっていいのか?
これまで男装していたって言うことは、なんかのっぴきならない理由があったからだよな。
身近なもので想像するなら、バカで無能な異母兄を王にしない為にエルライドの母とその周りの連中がこいつを男に仕立て上げたとかいうのならありえる話だ。
そもそも、エルライドには父…俺にとっては祖父に当たる現国王ガイネスはこの事を知っているのか?
……どうしよう色々考えれば考えるほど心臓痛くなってきた。
なんでこんな胸がドキドキしてるんだ、不整脈?
「んー…いや、ここ僕の部屋だからね?
ユーリがグッスリ寝てるから、仕方なく僕の部屋に入れたんだよ。
床に転がすのは可哀想だと思ったから一緒のベットに入れたんだ」
床に転がしてくれれば気付かなかったのに…今はその優しさが恨めしい。
「……いや、あっちにソファーあるじゃん」
「ソファーだと腰悪くするよ?」
実にフォロー溢れる優しい配慮だが、基準が分からん。
同じ男……じゃなくて、女だろ、同じベットで寝るっていいのかよおい、自覚しろ次期王様!?
良からぬ噂が出回ったらどうしてくれる、お互いの顔面偏差値からいってシャレにならないよ?
成人になって早々同じ男をベットに……いや、俺は男でエルライドは女!!
恋人でもないのにベットで一緒に寝ちゃうなんて……は、ハレンチなっ!?
「い、いや、その前に…」
思い返せば、エルライドの反応ってどこか女の子っぽいものがあった気がする。
初めて野宿した時に風呂に入るのが恥ずかしいからって、脱衣所とか風呂を土壁で囲んでとかいうリクエストもあった。
これって自分の裸を見られたら『女』であることがバレてしまうからだよな。
他にも妙に甘い物好きだったり…いや、甘党に男女差は関係ない気もするが、どこか嗜好が女の子寄り…だった気もする。
極めつけは…この容姿だな、今更だけどこんだけとびっきり上等な顔で男の子な訳ないのに。
超弩級の美少年だって思っていたけど、普通女じゃないのかって疑問にならない訳が…その辺りは巧妙だったなぁ。
一人称『僕』だし、格好は男だし、そこそこ剣術も使える。
男らしく見える場面も…けっこうありました。
ただ、そうする事で自分を『男』と見せる事が必要だったんだと思う。
それだけ女である事を隠してきたエルライドが、男の俺と一緒にベットで眠る?
どういった意図があるのか、見当がつかない…。
「……そういえばお……エルライド、あの後どうなったんだ?
アルベルトがきたと思ったら、俺いきなり眠くなって…」
この件は黙っていよう、俺の頭じゃ判断し切れん。
一応想像の翼は羽ばたかせておくが、いつかエルライドが話してくれるまで待つしかない。
…にしても今思い出してみれば、あれってアルベルトが俺の邪魔したっていう事なんじゃ…あいつ次会ったら絶対殴ろう。
「……うん、まぁ詳しい話は朝食をしながら食べようか」
……エルライドさん、何ですかその目は?
含みのある視線を向けないでください、後ろめたいから。
ていうか、俺前世も含めて女の子の胸初めて触っちゃったよ……無許可で。
むしろそっちの方がヤバイ、俺犯罪者…いや、ワザとじゃなかったし、何とか土下座して謝れば許してくれるかな?
どうしよう、思い出したら顔が熱くなって―――、
『―――よろしいでしょうか?』
ノックの後に耳障りの良い声が聞こえてくる。
あれ、これって…?
「失礼致しますユーリ様、エルライド王子。
朝食の準備が整いましたので参上致しました」
現れたのは中肉中背のヒューマン…に見えるの執事。
柔和といって良い表情をした胡散臭い通り越して薄ら寒い気持ちになる青年が満面の笑みで丁寧な挨拶をした。
直感的に分かった。
「…アルベルト、何で執事なんてやってるんだ?」
「ああ我が君、一目で私が分かるとは!!
本日の朝食は私が心をごめっへぁっ!?」
興奮した姿が気持ち悪いからとりあえず殴っておこう、俺は正しい。
なんだかもう朝から散々だ。
「ちょ、朝食が出来たことだし、王子様が着替えて来るまで外で待ってるな!!」
「えっ、ちょっとユーリ!?
何で名前を呼んでっ……!!」
ベットから飛び出てアルベルトの着ている服の襟元を引っ掴んで部屋から出て扉を閉めた。
どうしよう、今俺すっごい顔が赤くなっていると思う。
ていうか邪念消えろ、エルライドの裸とか想像するんじゃない!!
エルライドが着替えて部屋から出てくるまで、俺は扉の前で腕立て伏せして邪念を消そうと必死でした。
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ユーリに殴られ、頬を真っ赤にして胡散臭い笑顔を固定しているアルベルトは自分が作った料理ではなく、宮廷料理人たちが作った朝食の配膳をしていた。
一流の使用人と遜色ない仕事振りに、若いながらも苦労しているのだと一部の使用人や宮廷料理人たちに感心されているのを見て、ユーリを始め事情を知っている者たちが苦い顔をしているのだった。
アキラはあの騒動が終わると従者が寝泊りしている区画で軽く休息をとって戻ってきていた。
「…そっか、あれは本体じゃなくて良く出来た人形だったのか。
…復讐が遠のいちゃったかぁ」
口頭で簡単な事情を説明されたユーリは足をブラブラとさせながら残念そうな反応を見せた。
エルライドの真実を知ってしまった所為なのか、エルライドに視線を向けようともしないユーリにエルライドは意味深に苦笑し、フィリップが不審な目を向けた。
「詳細は報告書で既に纏めておりますので、後ほど提出いたしますユーリ様」
行儀悪くユーリがねぶりフォークをしているが、誰もそれを見て文句を言う者はいない。
既に配膳は終わりこの場にいるのはユーリ、エルライド、アキラ、フィリップ、そしてアルベルトの5人だけだ。
柔らかい物腰で対応しているアルベルトを奇異な目で見ているユーリたちにも動じない悪魔はある種不敵とも取れる笑みを浮かべていた。
それが余計に『出来る執事』と見られたのか、エルライドとアキラの評価は鰻登りだ。
「…ユーリ、聞いていたのと彼違うような気がするんだけど?
そこまでその…変態には見えないよ?」
「声だけの時はちょっと危ないとは思っていたから反対はしなかったけど、今はそれほど……危なくはあるが…問題はないんじゃないか?
|TPO(時・場所・場合)を守れているし、別に隔離空間に放り込む必要ないんと思うんだが」
「……好きにしてくれ」
エルライドとアキラはこの短時間にアルベルトの優秀さがもったいないと思ったのか、当初隔離空間へ放り込むという計画が頓挫しかけていた。
フィリップに関しては興味も無いのか、気のない声で返している。
「あー、その、なんだ?
その…何ていうかだなぁ」
まだエルライドと話す事に緊張しているのか、ユーリはどこかキョロキョロと視線をあちこちへ向けながら考えている。
そして何度か深呼吸してようやく自分を落ち着かせて、アルベルトへと視線を向けた。
「…ったく、うまい事猫被っちゃってまぁ、これじゃあアルベルトを隔離空間に閉じ込めるなんて事出来ないじゃないか。
……アルベルトへの褒美は一旦保留だ、それまで俺の側にいて執事として仕えていろ」
「ユーリ様に不自由のない生活が送れるよう、粉骨砕身してまいります」
ボロを出そうとしないアルベルトに、ユーリはそれ以上言えることはなかった。
「………うん、そうしてくれ」
精神的に疲れているのか、どこか覇気のないユーリはアルベルトを一時的ではあるが執事として側に置くことにしたのだった。
問題を先延ばしにしたに過ぎないが、問題が山積しているユーリの頭は沸騰寸前だ。
「…とりあえず、改めて言うまでもないけど昨日の件は異母兄であるアボリスの仕業だ。
僕を殺し次期王となるべく画策した事で、それに賛同した貴族たちの一覧『ソラージュ王国真王臣下録』という決定的な証拠もある。
成人の儀…この誕生会で全ての決着をつける」
凛としたエルライドの声音はこの場にいる全員に気を引き締めた。
そして、エルライドは誕生会が終わってからの、これからの事態を想定した計画を口にする。
ユーリも落ち着きを取り戻しエルライドの計画が終わると何度か深呼吸をしてから口を開いた。
「…王子様、ここからは速さを求められる。
賛同したバカ貴族連中を捕らえて、それに反抗したバカ貴族の親族連中に対してすぐに討伐軍を編成して各地を制圧しないといけない。
戦争っていうのは消費がバカみたいにあるから、やるなら短期決戦が一番だ。
それが一番犠牲が少ないし、国力の低下を一番抑える事が出来る。
そうなると、戦術や戦略に長けたフラウ爺さんや軍部を纏めているベザリウス家が一番の適任だと思う。
なのに…どうして俺がこの討伐軍の大将をしなきゃならないんだよ?」
昨日の段階では内戦が起きてどう対処するかまでの話まではしていたが、それを誰に任せるかまでは話を詰めていないという事もあり、途中で離席したユーリは最後までエルライドと話す事は出来なかった。
もうすぐユーリは誕生会の為に厨房へ向かい仕込みをしなければならない。
それまでに、どうしてもこの件だけは話し合いをしなければいけなかった。
ユーリを討伐軍の大将にした鎮圧計画。
確かにユーリはその実績から『英雄』とまで称された大人物だ。
その英雄が討伐軍の大将となる事で、エルライドがソラージュ王国の次期後継者である事の賛同者であり、正当性を国内外に知らしめる事が出来るだろう事は間違いない。
だが、ユーリには確かに軍事的な知識があるが、それを活かした経験など中隊規模までで、しかも一度だけだ。
今回の鎮圧には間違いなく大軍勢、最低でも万を超える数の将兵を纏め上げ指揮しなければならない。
大規模戦闘の指揮など知識だけの素人であるユーリに、任せてもいいものなのか。
それをこのような、今後のエルライドの統治能力を試されるような場でもし大きな失態があればと思うと、ユーリはその任を辞退したい気持ちでいっぱいだった。
エルライドの役に立ちたいというユーリの気持ちに嘘はない。
だが、役に立てないと分かっている事に対して、自分がそこまでして指揮官として出る必要が本当にあるのか。
一兵士として戦場に出た方が犠牲も少なく、短期間に鎮圧が出来るのではないかと口にしたのだ。
事実、ユーリには本来の魔王の力の全てを発揮せず、制限したままでも他を圧倒するだけの能力がある。
だからこそ、指揮官としての自分よりも、一兵士としての自分をエルライドに求めてほしかったのだ。
「…ダメだよユーリ、それじゃあダメだ」
それでも、エルライドは頑なに頷こうとしない。
一兵士としてではなく、指揮官としてのユーリを求めたエルライドの決定は覆らない。
「ユーリが戦場に出れば確かに犠牲は減る、それは間違いない。
そして、指揮官としての能力が殆ど未知数と言っていいユーリが討伐軍を指揮をすれば、どれだけ犠牲が出て勝利するか分からない。
最悪、鎮圧はしてもシャレにならない犠牲をお互いが出せば国力が低下して、他国につけ込まれてしまう危険性もある」
反旗を翻している貴族は100を超え、領地を持っている貴族はその半数近く上っている。
領地を持っている貴族たちは領地の治安を守る為に独自の戦力を保有しており、領地を持っていない貴族にしても小なりとも私兵がいる。
総じて纏めてしまえば、3万は下らない大軍となる。
更に隠し資金などを使えば実力のある百戦錬磨の傭兵、傭兵団も雇えばその数は増えていくだろう。
そのような猛者たちを相手に、ユーリの指揮で立ち行くのかも怪しい。
この内乱の鎮圧を長引かせてしまえば国力が低下するだけでなく、他国に付け入る隙を与えてしまうだろう。
「だ、だったら―――!?」
「…だけどね、それくらいこの僕が何も考えていないと思う?」
―――コンコン、と扉を叩く音がした。
扉に一番近かったアルベルトがエルライドの許可を得るとゆっくりと開けた。
そこには―――、
「……アドルフ?」
チョビ髭を生やした壮年のヒューマンがどこかくたびれたローブを着て現れた。
今日がエルライドの誕生会に―――成人の儀がある吉日だというのに、その様な格好でお構いなしにやってきた【魔道狂い】―――アドルフはエルライドに軽く挨拶すると、ユーリの前にやってきた。
ユーリがどこか引き攣った表情をすると、髭を撫で余裕を浮かべながらアドルフが笑った。
「やあユーリ君半年振りだね?
何時まで経っても研究を手伝ってくれないから、迎えに来たよ」
その言葉にアキラやアルベルトが首を傾げた。
アドルフがいう所の『研究』というのは、間違いなく魔法、魔道具に関連したことなのだろうということまでは想像出来た2人だが、どうしてそこにユーリが関わってくるのか分からなかったからだ。
アルベルトならば潜入任務先の依頼の所為で知らなかったが、ユーリはアドルフとある大規模計画の共同研究者兼開発者だった。
とはいえ、ユーリがその研究の全容を知ったのは1年前の事で、その影響力に危機感を抱き途中で離脱していたのだ。
そうすれば今回の計画に使用される事はまずないだろうと計算しての事だったが、アドルフの実力を見誤った結果がこれである。
寝る間も惜しみ、形振り構わず計画に没頭したあげく、完成一歩手前まで辿り着いた【魔道狂い】の恐ろしさを、今になって知ったユーリなのであった。
「……アドフル、あれ、どれ位出来たの?
俺がまだいた頃は、確か5割くらいは出来ていたと思うんだけど」
「8割完成しましたよ、後は試運転と動力部周りの再調整をすれば完成かな」
「……最悪だ、こうなる事が予想出来たから先延ばししておいたのに。
…あぁ、終わったな第一王子。
詰みだ、完全終了のお知らせだ。
…ああ、でもあれ使ったら確かに最小限の犠牲で終わるだろうなぁ。
えっと、なんだったっけ?
『やむを得ない犠牲』ってやつか…はぁ、エルライドが自信たっぷりな訳だ。
そりゃそうだよね、あんなの使われたら士気下がるし恐慌状態になって、まともに戦争なんて出来ないし…ホント、最悪だ」
あっけらかんというアドルフに、天を仰いだユーリは両手で頭を抱えて呻いた。
「おいユーリ、1人で納得していないで説明しろ。
…あと副支部長、ユーリを連れては行かせませんよ?
この後王子の成人の儀があるんですから。
っていうか、冒険者ギルドの副支部長とか魔導師ギルドのギルドマスターなんてしている重要人物が、何大事な式典サボろうとしてるんですか。
しかもユーリと同じく名誉貴族で宮廷魔導師なのに研究優先とかありえないでしょう…」
「なんと、もうそんな日だったのかね!?
し、しかし今日は絶好の天気で、試運転に適した具合に空の状況も良いのだよ!!
この機会を逃せば、試運転の時期が先延ばしに…」
「…アルベルト、外にいる侍従を呼んでアドルフ専用の宮廷魔導師の礼服を持ってくるように伝えてこい」
「畏まりましてございます。
それでは皆様、暫し失礼を」
完璧な作法で一礼したアルベルトは部屋から出て行くと外にいた侍従に説明し、共に離れていく。
「王子様、侍従が来るまでに話を終えちまおうぜ。
……なんかもう、どこまで行っても王子様の手の平からは抜け出せないんだなって心底思ったわ」
この数分でどっと疲れが押し寄せてきているのか、暗い表情をしているユーリにエルライドが苦笑した。
アキラに関しても自分を除いた面々が全ての事情を説明してくれるのだろうと待っている。
『どうせまた突拍子もなくろくでもない計画を立てたんだろうな、恐ろしい』等と思っているのだが、アキラの予測は概ね正しい。
この世界において、この『突拍子もなくろくでもない計画』は史上初と言ってもいいものだったからだ。
空前絶後の知力を持つ王子、それに応えられるだけの膨大な知識を持つ魔王、そしてその2人の編み出した計画を実現するだけの開発力を持つ【魔道狂い】が揃ってしまえば、この世で作れないものはおそらくないだろう。
「…心底、将来敵になるだろう帝国にお悔やみ申し上げるぜ。
勝てるワケ無いだろ、こんな化け物連中に」
苦虫を100ダースほど噛み潰したような顔をしたアキラは、エルライドの口にし始めた『計画の全容』を知り同情したくも無かった帝国に憐憫の情をかけてしまった。
ユーリが途中でこの研究から抜けた理由も大方ついてしまったアキラはユーリにも同情してしまった。
嬉々として説明をするエルライドにそれを狂々と補足しながら興奮するアドルフ、そして既に諦観の域に達したのか、何度もため息をつき幸せを自発的に逃しているユーリが暗澹とした表情を浮かべながら『どうしてこうなった』とぼやいていた。
他人事のような顔をしているフィリップも、この魔宴ともいえる状況にため息をつき疲れた様に首を振るのだった。
ついに…ついに、本作のヒロインが!!!!!!????
…今更な感がありますが、本作に『ヒロイン』はちゃんといます。
BLっぽいだけで、ちゃんと恋愛要素はあるのです!!
……読んで頂き、ありがとうございました。
感想など、お待ちしています。




