↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/93

第35話 作戦開始、その前に

遅くなりました、申し訳ありません。

次のお話は、今日中です大雑把過ぎて申し訳ありません。

 



 俺は帰ってきましたよ王都に、アッキーも一緒だ。


 ちなみに王都は少し騒がしくなっていた。


 まぁ当然だろう、勇者であるアッキーがいきなり冒険者ギルドから消えた、というか俺が拉致したようなもんだからな。


 事情を知らない連中からしたら何事だっていう話だ。


 で、いつまでもコソコソしても仕方ないから、普通に門から入って帰ってきた。


 当然だが俺の顔は結構知られている、門番は俺の顔を見ると飛び上がって詰め所に入って行って責任者と一緒に出てきた。


「失礼だが、冒険者のユーリ殿でよかったか?」


「その通りだ、あとこっちは勇者のシャイン様」


 アッキーは自分の名前を偽っていたらしい。


 偽装の事を知らずにどうして出来たのかというと、はじめて会った時からアマリア教の連中を信用していなかったらしく、魔法の事を知らなかったアッキーは自分の名前を咄嗟に『社員(シャイン)』と名乗ったのである、『(シャイン)』じゃないのかと思わず突っ込みを入れてしまったぞ。


 まぁその時、無魔法が偶発的に発動したんだろう。


 勇者補正というやつなのか、自分の名前を誤魔化したいというアッキーの願いに魔法が反応してしまった訳だ。


 実際適正値は俺と同じ100だし、出来ない事もないからな。


 まぁさすがに魔法適正値を誤魔化すまでは考え付かずに全ての適正値100のトンデモ勇者が召喚されたと召喚した連中は大喜びしていたみたいだが。


 期待されまくって毎日訓練と勉学を繰り返されたアッキーは次第に疲れていきながらエルミナ神樹国へと行くことになったんだと。


 そこで魔王である俺と出会い、華麗な逃亡劇を始めると…まぁそういうわけで。


 ちなみに俺がアッキーを拉致った理由は謁見の間で見た勇者の実力が知りたかったからという、一般的にハーフエルフの俺が勇者に立ち向かうなんて天に唾を吐く行為らしい。


 当然聖女からは不審な目で見られ、聖騎士からは殺気が向けられたがアッキーの取り成しで何とかなった。


 とはいえ俺は慰謝料をアッキーに支払うことになった、まぁ実際に戦ったし、迷惑料も込みで金貨200枚ほど支払いましたよ。


 たぶん吹っかけたつもりだったんだろう、神に救いを認められていない者であるハーフエルフの俺がどうやってこんな大金を持っている訳が無いと、借金奴隷になってしまえばいいと連中は思ったのである。


 まぁ満額払いましたが。


 何でそんな大金を持っているのか問われたが、俺が今年の武芸大会の優勝者で特異魔法の保有者であるといったら納得した、特異魔法というのはかなり説得力のあるキーワードらしい。


 しかも『勇者の護衛にしてやろう、ありがたく思え』というお言葉を受けるくらいだ、よっぽどなんだろうな、断ったが。


 思いっきり盾にする気満々ジャン、ていうか背後から刺す気でしょ?


 俺とアマリア教連中とはそこで別れた、元々アマリア教がいけ好かないから象徴である勇者に突っかかったんだと本気8割の言葉をぶつけたらすぐに言葉を撤回して『下賤』だの『天罰が下る』などと言って去っていった。


 それじゃあアッキー、また後で。


 今度は襲撃イベントで会おうぜ。




 ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■




 王都に帰ってアマリア教連中との溝を作った後、当然だが俺はハロルドさんに会いに行った、ていうか報告ね。


 当然だが怒り心頭、ハロルドさんの受付には誰も近寄っていない、あはは、予想通り過ぎて嬉しいやら悲しいやら。


 というよりハロルドさんがこの時間帯にいる事自体がおかしい、もう夜の部なのにギルドにいるのは予想外過ぎた。


「やっほーハロルドさん、かえって来ましたーあっ!?」


 挨拶して返ってきたのは拳骨でした、恒例になってきたなこの拳骨。


 ちなみに身体強化で防御をしているからそこまで痛くない、ハロルドさんもやっているが。


「ようユーリ、襲いお帰りだな。

 お兄さんは心配で心配で残業しながらお前の帰りを待っていたぞ。

 ちなみにアマリア教連中から盛大な苦情が来た、『お宅の冒険者に我が国の勇者が拉致された』ってな」


「あ、それもう解決したよ。

 昨日謁見の間で見た時に強そうだから興味が湧いて、拉致して何も無い平野部で戦ってました!!

 ちなみに引き分けだったね、勇者の防御を突破出来ませんでしたー」


 バアルが暴走して使っていた魔法でもアッキーの光魔法を突破出来ていなかったらしい。


 まぁ欠片だから使える魔法も限られてたんだろうな、有り得ない話だけど完全な状態でバアルが覚醒していたら状況的にアッキーは間違いなく死んでいた。


 悪運もとい勇者補正のおかげだな、ちょっとアマリア教以外の神様に感謝したい気持ちだ。


「アマリア教の連中とも話をつけたから、これ以上の苦情は多分無いんじゃないかな?

 勇者シャイン様とも友達になったし、口利いてくれたから」


「…………それだけか?」


 はい、勢いで言ってみたけどハロルドさんは騙されてくれませんでした。


 いや、本音7割くらいで喋ってるんだけど、アッキーのシナリオ通りの用意された言葉を使ってるんだが、何でバレたんだ?


「………その、ごめんなさい」


「よし、今は仕事中だから説教は後だ。

 帰ったらすぐに話すから、逃げずに待っとけよ?」


 俺の謝罪の言葉を聞いて満足すると、ハロルドさんは仕事に戻っていった。


 ちなみにハロルドさんは俺の家に住んでます、もちろん家賃は払ってもらってるぞ、超格安だけど。


 いやーどうせ…同じ屋根の下に住んでいるってどういう状況なんだろうね、ファンタジー。


 まぁ、基本俺は大家さん気分でいる、そうじゃないとおかしいからね。


 逃げる気は無いけど念押しされたので、俺は足早と自分の家に帰っていった。


 クリミナ達が俺を迎え入れてくれたんだが、様子がおかしい。


「その…エルライド王子がお越しになっています。

 …2時間ほど前から」


「……逃げたくなってきた」


 ハロルドさんもそうだけど、エルライドも怒ってるよなさすがに。


 2人からの同時お説教は全て自白しないと凌げない気がする。


 まぁ、今回は不可抗力だし、話せばわかってくれるよな?




 ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■




 ハロルドさんがすぐ帰ってきて、夕食もまだだというのにお説教が始まった。


 腹減ってるんだけど、ペコペコなんですけど?


「事情を説明してからだね夕食は」


「まぁ大方想像はついているが、さすがに急過ぎたからな。

 ほら、さっさと喋ろうぜ?」


 だ、騙されないぞ、そんな優しい顔しやがって、俺が2人に弱い事を知ってそんな顔するんだな!!


「うぅ…実は」


 正直に話しました、とりあえず事の次第を事実8割で。


 前世の事はまだ言えていない、さすがにエルライドとハロルドさんにどう説明したらいいのか分からないんだ。


 実は俺には前世があって何の偶然か勇者として召喚されたアッキーとバッタリ会いましたってか?


 ……荒唐無稽にも程がある、運命とやらが面白おかしく仕事し過ぎで誰にも理解されていない結果を作り出したとしか言い様が無い。


「…で、どう思われますか王子?」


「喋っていない事がまだありそうだよね。

 だってユーリの目があっちこっちキョロキョロしているし、その割に話は整然と分かりやすい。

 どこかで脚本を書いている人がいるんじゃないかなって僕は思うんだけど、ハロルドさんはどう思う?」


「同感ですね、いつもなら笑って誤魔化して説教を食らうのが鉄板になっているんですが、今回はそんな事を一度もしていませんし、話が整い過ぎています。

 私達の予想とも外れていますし、嘘でしょうね」


 …………断定された、しかも俺の話が完全に信じてもらえなかったよ。


 アッキー、脚本に無理があったんじゃないこれ?


 この2人を騙すとか、俺じゃ無理だったよ。


 ていうか、俺の事どれだけ理解しているんですか2人は、ちょっと怖すぎるんだけど。


「何って、ユーリの嘘って分かりやすいよ?」


「そうだな、笑って誤魔化したり目があっちこっちに動いたり。

 子供の嘘でももう少し工夫するぞ?」


「あ、あははー」


 もう笑うしかない、完全に見透かされていた。


 どうしよう、全部話すか?


 けど、話して信じてもらえるかどうか…その、2人に迷惑が掛かれば俺としても困るというか。


「……ユーリ、僕たちはユーリを心配しているんだよ?

 それでも話せない?」


「無理なら今は聞かない。

 だけど、それならいつ話せる、明日か、明後日か、何年待つ事になるんだ?

 俺たちの事がそんなに信用ならないのか?」


「し、信用してるに決まってるじゃんか!!

 けど、それは…その…事情が事情というか…」


 正直前世の事を話して気味悪がられるという後ろめたさがある俺にはどうしても二の足を踏んでしまう。


 けど、ハロルドさんとエルライドに心配されていながら何も話せないっていうのは不誠実だ、2人の事を信じていないと遠回しに言っているようなもんだ。


「…はっきりしなよユーリ、男でしょ!?」


「は、はいっ!!

 で、出来ればこの件が終わってから事情を話したいと思いますっ!!」


 ……し、しまった、気が動転して変なこと口走った。


 だ、だから嫌なんだよ嘘つくって、余計な事までボロが出ちゃったじゃないか。


 エルライドが突然大きな声で出すから…うぅ。


「よし、言質は取ったよ?

 それで、この件っていうのはどういう事かな?

 勇者シャインに関する事なんだよね?」


 今度こそ俺は全て話す事になった。


 勇者シャインことアッキーが異世界人で無理やり勇者をやらされているという事、俺が暴走して勇者に襲いかかった事、何とか暴走が収まってから謝罪も兼ねて逃亡の片棒を担ぐ事になった事、諸々だ。


 片棒を担ぐにしてもどうして魔王の俺がすぐに信用されたのか2人は不思議がっていたが、俺が頑として口にしない辺り渋々諦めてくれた、諦めていないようだったが。


「……王宮にも苦情が入っているからね、今回の一件で既にアマリア教国との関係に小さく無い傷を作ってしまったんだ。

 しかも、ユーリがその作戦をするのはこのソラージュ王国だよね?

 勇者が死んだという事にするなら、アマリア教国がいちゃもんをつけてきて『勇者シャインが死んだのは貴国が普段から魔獣討伐をしてこなかった所為だ』とか言ってきたらどうするの、下手したら聖戦だよ?

 別にあの国と関係が悪化してもいいけど、普段から魔獣討伐とか盗賊退治もしているのにそんな理不尽で意味不明な理由で戦争吹っかけれてどう思う?

 僕がユーリの嘘に気付かなかったら、状況が何も分からずにそんな結末になっていたかもしれないんだよ?」


 …そ、そこまでなるとは俺もアッキーも考えていなかった。


 エルライドの言う事が真実なら、この計画自体を考え直さなくいけなくなる。


 幸い空間魔法の魔道具を渡しているから、今日の夜にでも話して…、


「まぁ、僕がそんな事にはさせないけどね?」


 エルライドが自信満々な笑顔を見せると、俺にアッキーに渡してある魔道具の対に当たる魔道具を貸してくれといってきた。


「ユーリを介しても話が進まないから、僕が直接勇者シャインと話をつけるよ。

 よかったねユーリ、この計画をもっと完成度の高い、ユーリの大嫌いなアマリア教国にしか損のいかない結末に仕立て上げるから」


 楽しみにしていてね、と黒く笑うエルライドに、思わず顔が引き攣る。


 そ、そんな顔も出来たんですねエルライドさん、お似合いすぎて背筋が凍ったぞ。


「……あ、勇者シャインかい?

 僕はソラージュ王国第二王子エルライドといいます。

 さっきユーリに話を聞いたんだけど…」


 楽しげに話すエルライドとアッキーの会話についていけない俺は次第に壮大になっていく計画に大丈夫かと思いを馳せた。


 2時間後、ようやく計画が終わるとエルライドが俺の頬を軽くつまんだ。


「ユーリ、よかったね、これでうまくいきそうだ。

 この件が終わった時が楽しみだよ、その時は勇者の彼も一緒に話してもらうから、覚悟しておいてね?」


「……はい」


 前世の事を差し引いても完全敗北だ。


 ていうかエルライドの顔が直視出来ない、顔も熱いしソワソワしてくる。


 うぅ、なんでこんな事になったんだ。


 その日の夕食は何とか完食したが、味がさっぱりしなかった。


 エルライドの顔が何度もちらついて、寝不足になるし意味が分からん。



読んで頂き、ありがとうございました。

感想など、お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。