↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/93

第34話 魔王と勇者の同窓会

何とか18時投稿できました。

今日はこれまで、次は1月3日12時です。

ブックマーク60件を超えました、ありがとうゴザイマス。

 




 あれからどれだけの時間が経ったのかは分からない。


 何もない暗闇でもがいて暴れ回っていた記憶はあるが、バアルの暴走を止められたのかは全く以って不明だ。


 だが、暴走した原因となる基点を探していたんだが、壊せたんだろうか。


 何か小さな物を握り潰した感覚があったんだが。


 …というか、眩しい。


 ここは…どこだ?


「…ようやっと起きたか、このアホウが」


 懐かしい声…この声は、


「……んあ?」


 目を覚ましたら、『勇者』といわれていたアッキーこと御堂輝がいた。




 ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■ ◆ ■



 起きて辺りを見回してみると、少し離れた場所がなんとも殺風景な荒地が広がっている。


 土に栄養分がないのか…戦闘の痕跡もあるし、障害物も無いし魔法の練習場にはちょうどいいかも?


「バカが、ナニ他人事みたいな目で見てやがる。

 アレは全部お前がやった痕だよ、この脳足りん暴走破壊神め。

 転生しているわ魔王だわチートだわで俺の許容量(キャパ)も限界だ。

 起きるのを待ってやったんだ、さっさと説明しろ」


 …懐かしい罵倒が聞こえてくる、やっぱりアッキーだなこいつは。


 どこかしら再会した時よりも血色が良い様な気がする……何かあったのだろうか。


「…説明って…逆に俺が聞きたいんだが」


 転移した場所がここという事は、この近くには村があった筈だ。


 ワザワザぽつんと立ってあった木を座標(マーカー)にしていたから覚えている。


 ここから恐らく1時間もしない内に着けるはずだ、何でここでと待っているんだ?


「却下だボケ…といいたい所だが、その質問は尤もだな。

 当然だ、俺はアマリア教国から殆ど一直線で来ていたんだ。

 見ず知らずの土地にいきなり放り出されてどこに村とか町があるとかなんて分かる訳ないだろう、寝起きで頭が回っていないのなら氷水ぶっ掛けて目を覚ましてやろうか?」


 ふんぞり返っている所を悪いがアッキー、お前そんな消極的な性格していないだろう?


 こいつなら俺の両足を引っ張って引き摺ってでもあちこち回るはずだ。


 それをしないという事は、


「…サイですか。

 つまり、俺の暴走でアッキーの魔力が底をついて身動き取れなかったという訳でいいんだな?」


 俺の暴走の所為でアッキーの魔力を使い切るほどに、一時的に歩くのも辛い位には疲弊しているという事なんだろう。


 …生きててくれてよかった、申し訳ない。


「とりあえず木陰が見えたからそこまでは引き摺った」


 通りで頭が痛い訳だ、ハゲてないよな?


 この年で部分ハゲとか嫌なんだけど、まぁ回復すれば元通りだが。


「そりゃどうも、せめて背負ってくれてもよかったのに。

 転生してからあんまり背が伸びないし体重が増えなくてな、大体40キロもないぞ」


 俺の転生の事を当たり前のように知っているという事は俺のステータスでも解析したんだろう。


 無魔法の適正値が俺と同じ100だったから防ぎようが無いし、チートどうこうのはそれも含めて知ったんだろうな。


「30越えのオッサンを背負うとか何の罰ゲームだ?」


「なっ、それは前世込みの話だろう!?

 肉体年齢はまだ11だし!!」


 こんなヤングで可愛い俺にオッサンなんて言うなんて、失礼な奴だ!!


 この世界じゃエルフの30とか未青年なんだぞ、俺ハーフだけどさ。


「はっ、この精神年齢詐欺師め!!

 前世の頃からお前の精神年齢は小学生並みだったろうが、学力と年齢以外俺に勝てなかったマヌケが偉そうに」


「だったら背負ってよ、今の肉体と合わせたら釣り合うじゃないか!!」


「俺を殺そうとした奴を背負って目覚めたらまた殺し合い始まったら俺の首が一瞬で飛ぶだろうが、少しは考えて物を言えバカタレ!!」


「何だよ、10年以上ぶりに再会した友人に少しは優しくしてやろうとか思わない訳!?」


「その後すぐに殺し合いになった友人に優しくしてやれるような聖人君子じゃねえんだよ!!」


 …どうしよう、全面的に俺が悪い気がする。


 けど、あの時アッキーが冒険者ギルドにいなかったらこんな事にならなかったのに、どうしてあの時ギルドにいたんだよ。


 ていうか、あの時俺倒れていたんだが、ハロルドさんとか他の連中にも俺の異変が見られたような…気がする。


 アッキーに聞いてみると、通ってきた国の王様とか冒険者ギルドには宣伝、もとい顔見せをしていたらしい。


 営業は大事という事だな、勇者だし。


「…そうだよ、まぁ殺し合ったことはさておいてさ。

 どうしてアッキーがこの世界にいるんだよ、ステータスから推察するに、召喚されたのか?」


 称号には『異世界人』とあったから恐らくアマリア教国が召喚魔法をしてアッキーを召喚したんだろう。


 俺は悪魔を召喚出来るが、あちらは天使とか勇者とかを召喚出来るらしい、俺もイメージ的にそっちを召喚してみたいな、勇者は遠慮するが。


 闇魔法は応用も他の事も出来たりするが枠から出られないから困る。


「さらっと流すなよったく…まぁお前の推察通りだな。

 お前のお姉さんから受け取った遺品を古本屋に売りに行こうとした直後に俺は召喚された。

 本はあっちに残されたみたいだな、何も持っていなかったし」


 ……遺品…本…ま、まさか!!


「お前、俺の本を!!」


 あの頃は惰性で集めてはいたが、俺の本の蔵書量はかなりあった。


 小説が大半だが俺も成人した身だ、『大人の本』も普通に買ったりしたからな。


 …それを全部回収したという事は、俺の趣味思考を…果ては性癖も?


「何だよ純愛主義者が、お前がどういった女性が好きでどういう恋愛感を持っていていようと、俺には何のネタにするつもりはないぜ?

 ラブラブエッチ大好きなユーリクーン?」


「………こ、今度こそ息の根を止めてやろうかこのやろう!?」


 この感情は俺の感情だ、こいつを殺せと叫んでいるぞクソったれ。


 姉さんもなんでこいつに本を渡したんだよもっとマシな奴らが………俺、友人殆どいなかったから無理か。


「いいじゃねえかラブラブエッチ、お互い愛し合ってそういう事するのは悪いことじゃねえからな?

 素晴らしいじゃねえかラブラブエッチ、前の世界じゃ勢いでヤッてなし崩しに結婚まっしぐらな奴もいたりしてたんだ、そう考えるとお前の恋愛感が悪いなんて一言も俺は言ってないぜ?」


「こ、この心の傷(トラウマ)製造機め!!

 くそう、わ、分かった、悪かったって!!

 俺が全面的に悪うございました!!

 もう二度とこんな事にはならないから勘弁してくれ!!」


 アッキーを見ても殺意…憎悪は溢れ出てこないっていう事は、多分俺はバアルの欠片を壊せたんだと思う。


 恐らくだが、これで二度と暴走を起こしたりはしない筈だ。


「ふん、分かっているならいいんだよ、この残念ショタめ、地の底まで深く反省しろ」


 ざ、残念ショタとはまたすごいジャンルがきたな、新ジャンルじゃないか?


 ていうか、ショタっていうほど小さくは…いや、何も言わない、自爆しそうだ。


 あと残念なのはお前もだって理解しているのか?


「……と、ところでアッキー、俺どれくらい寝てたんだ?

 夕方っていう事はまだ今日か、それとも丸1日寝ていたのか?」


「まだ夕方だ、あんな事が起きたのにまだ半日も経っていない。

 聖女の奴にはまたうるさく言われるだろうな。

 エルミナ神樹国に行くのに予定が狂うとかいってゴチャゴチャ言われそうだ」


 エルミナ神樹国って…そういえばアッキー達は多分だが魔王である俺に用があったんだよな?


 目的の魔王である俺と勇者のアッキーがいる以上、また殺し合いをしないといけなくなる事態が来るんだろうか。


「…なぁアッキー、お前って勇者なんだよな」


 その話題はあまり好きじゃないのか、アッキーの表情が曇った。


 生えている草を無造作に何本か引き抜くと乱暴に俺に投げつけてきた、やめろコラ、目に入るだろうが。


 まだ俺は身動き取れないんだぞ。


「ふざけた称号もあったもんだな、俺が勇者だとよ」


「そうだ、んでもって俺はその対極に位置する魔王だってよ。

 つまりはだ…その……なんというか」


 口に出すのも憚るが、長年の友人だと思ってきたアッキーと殺し合いをしなくてはならないなんて全面的に却下だ。


 そもそも俺は勇者と殺し合う理由なんて無いし、称号の魔王だってあるけど世界征服したりする予定は完全にないからな、面倒だし。


「…俺はなアオイ…いや、今はユーリと名乗っているんだったか。

 じゃあユーリと呼ばせてもらう」


 アッキーがふてぶてしい表情に戻ると、改まって俺の名前を呼んだ。


 それから聞いたのは、アッキーがこの世界に来てからの話だった。


 いるかどうかも分からない魔王を倒せという願いに召喚され、情報を制限され都合のいい手駒にされる訓練を何ヶ月も受けてきたと。


 そして何らかの方法で魔王である俺がエルミナ神樹国に出現したと言う情報を得たアマリアの連中が勇者を連れて宣伝しながら向かっていたこと。


「……あのバカ共、本当にロクな事しかしないな」


「拉致しておいて自分たちの目的の為に俺を使い潰そうというのがすぐに分かったからな、表面上は協力しておいて隙を衝いて逃げられればよかったんだが、そうもいかなくてな。

 監視役の聖女はいるわ外出も出来ないわ酒は飲めないし美味い食べ物も食えないわで最悪三昧だったんだ。

 エルミナ神樹国に着く前に、魔王戦うなんて事になる前に逃げ出したかったんだが、護衛と証した監視もいたしで逃げようがなかったんだ。

 まぁ、お前のおかげで逃げる…事は出来たんだが、このまま逃げたらお前にも迷惑が掛かるからどうしたものかと思ってな」


 ストレスがマッハで溜まっていったんだな、よく見ると若白髪も見えたりする、苦労したんだろうな。


 …ていうかアッキーは無魔法の変化を知らないのか?


 適正値が100になったら顔の形を変えられるんだぞ、なんとタダで顔面整形が出来ちゃうのだ。


 試しに前世の俺の顔にしてみたが、今の顔の方が気に入っているからすぐにやめた。


 潜入任務の時以外は使う事は無いだろう、使うにしても前世の顔だけは使わないがな。


 別に前世の顔が嫌いな訳じゃない、そこそこ整ってはいたかも知れないが前世の両親から受け継いだ顔っていうだけで嫌いなだけだ。


 俺はアッキーに無魔法の変化について教えると、寝耳に水だったのか目が点になって固まった。


「…なに、無魔法って身体強化とか解析位しか出来ないって魔道書には書いてあったぞ?」


「その執筆者の適正値が低いから適正値以上の魔法がどんな事になるか想像出来なかったんだろ?

 何なら今やって見せようか、前世の顔とか髪色も、目の色まで変えられるぞ?」


 したくはないが、俺はアッキーに前世の顔、ミツミネアオイの顔へと作り変えた。


 オプションで爪も伸ばしてみたが不評だった、胸を大きくしてみろとか意味の分からない注文があったが、脂肪が足りないのでそこまで大きく出来ないな、せいぜい胸囲(バスト)70が限界だ。


 それと、これは恐くてしていないが、性転換ももしかしたら出来るかもしれない。


 とはいえ、これは出来てもしない、絶対に。


 まあ、魔力がぜんぜん回復していないからすぐに戻したが、変化の可能性を理解したアッキーは作戦を練り始めた。


 何故か俺も強制参加、純愛主義(トラウマ)を盾に、いやネタにされて無理やり協力させられた。


 もう一生アッキーには頭が上がらない気がする。


 そして出来上がったシナリオがこれだ。


 俺が高ランクの魔獣を洗脳してアッキーたち勇者御一行様を襲撃。


 聖女や聖騎士たちとうまく離してアッキーの死体を偽装して死んだ事にする。


 シンプルで疑われる可能性の低い作戦だ。


「……まぁ、別にそんな脅迫しなくても協力はしたけどな。

 友達だし」


「散々相談に乗ってきてやった礼を纏めて清算してやってもいいぞ」


「だから、何でそんな偉そうなんだって」


「勇者様だから?」


「俺は魔王様なんだけど?」


「………」


「………」


 お互いが納得行かないような目で見つめ合うんだが、なんとも居心地が悪い。


 男と目を合わせ続けるって地味に拷問だな、エルライドとハロルドさんは別だが、あの2人は和む。


「あ、そういえば…」


 仕方ない、俺が折れるか。


 なんたってこっちの世界の先輩だし、年上だし、何より友人だからな。


 うまく話をそらして、アッキーの作戦を成功させてやろう。


「なんだ?」


「言い忘れてた、お久だなアッキー、10年以上ぶり」


「………ふん、俺はお前と別れからまだ半年も経っていない。

 ………久しぶりだなユーリ、元気そうで何よりだ」


 居心地の悪さが一瞬にして消えた、俺もアッキーも、久しぶりの同窓会に体力と魔力が回復するまでゆっくりと花を咲かせていった。



読んで頂き、ありがとうございました。

感想など、お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。