↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪後に娼館送りになったら、義弟が大金を持って私を迎えにきました(私たち不仲のはずでは???)  作者: 千堂みくま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/39

21 ユリウス、宰相から世界の説明を受ける2(ユリウス)

「質《たち》の悪いイタズラかと思いました。シェラーズ侯爵の令息はおかしくなってしまったのかと……。でも手紙の通りになったので、気が変わったんです」


「僕の話を信じてくれるんだね?」


「少しは、ですが」


ユリウスがしぶしぶ答えると、アランは嬉しそうに瞳を輝かせた。


「いやー、嬉しいなあ! 記憶が戻ってからずっと誰かに相談したかったんだよね。確かにリアーナ嬢は嫉妬で道を踏み外してしまうんだけど、何も国外追放されることはないよなぁってさ……。明らかにオーバーキルだし、現実の世界では見たくないよな」


「俺の姉上は、嫉妬で正気を失うような方ではありません。それに国外追放にはなりませんでしたが」


「そこなんだよ」


アランは急に大真面目な顔になり、メガネをきらりと光らせた。


「どうも僕が知る『セイオト』の世界とは、あちこち違っているんだよな……。リアーナ嬢だけじゃなくて、きみもおかしい」


そう言って、人差し指でユリウスを指し示した。

ユリウスが首を傾げつつ「俺がですか」と訊くと、アランは深く頷いた。


「きみは本来なら、アリサ嬢の護衛騎士になっているはずなんだ。セイオトはダブルヒーローものだったからね。甘いマスクの王子様と、クールなイケメン公爵、どっちとくっつくの!? というハラハラドキドキ感が……おーい、目が死んでるよ」


「何がどうなって、俺がアリサ嬢の護衛になるんですか? どういう理屈で?」


「そりゃあ、きみが幼少期からリアーナ嬢にイジメられていたからさ。彼女は義理の姉としてきみに厳しい躾をした。それでユリウス君は姉が大嫌いになり、優しく自分を受け止めてくれたアリサ嬢を選んだ……って話だったんだけど。食事のマナーとか、口うるさく注意されただろ?」


「されましたが、あれくらいで嫌いにはなりません。むしろ愛を感じました」


「…………。ダンスのレッスンでは、初めて女性と組んで踊ったのに手加減してもらえなかった。床に印を描いて、必ずここに足を運べとしつこく言われたよね?」


「コンテルノ公爵家の息子に、手加減なんて必要ですか? 俺が駄目人間だと、父上と姉上の顔に泥を塗ってしまいます」


「これだよ、まるで別人だ。漫画のユリウス君はナイーブな性格で、誰にも笑顔を見せない鬱屈した青年に成長してたんだけどな……。きみってば、お姉さん大好きっ子になってるし」


アランはそこで言葉を切ると、メガネの奥から濃緑の瞳でユリウスをじっと見つめた。


「誰かが故意にストーリーを捻じ曲げてるとしか思えない。そいつが何者かは分からないが、キャラの性格まで変えることが出来る影響力を持ってるってことだ。――間違いなく、僕と同じ転生者だろうね」


アランにとってそれはかなり深刻な問題であるらしい。

ユリウスはしばし考えこんでから、彼に話しかけた。


「宰相閣下にお尋ねしたいのですが」


「ん? 何かな?」


「あなたの目的は何ですか?」


予想もしていない問いだったのか、アランはぽかんとした顔のまま固まった。

それでもこの質問はユリウスとリアーナにとって必須であり、ユリウスは構わず言葉を続けた。


「姉上は無事に見つけましたし、明日には自由の身になって公爵家へ戻ります。ですから、閣下の助けはもう必要ありません。あなたが俺に構いたがるのはなぜですか? 何が目的なんです?」


ユリウスの瞳には殺気さえ籠っていた。

これ以上、姉との関係に踏み込んでくるつもりなら容赦はしない――脅しともいえる気配を感じたが、アランは愉快そうに笑いだした。


「あっははは! そんなに警戒しないでくださいよ、ユリウス殿下《・・》」


それは口にしてはならない事実だった。

ユリウスが凍り付きそうな極寒の眼差しをしていると、アランは笑いを苦笑に変えた。


「僕の目的はただ一つだよ。この壊れかけたストーリーが、どこへ行きつくのか見たいんだ。きみの素性を暴くつもりはないし、リアーナ嬢が剥奪された身分も僕なら何とかしてやれると思う。これで取引にならないかな?」


アランが差し出してきた右手を見つめながら、ユリウスは目まぐるしく思考を回転させた。


国王は意識不明の重体だったが、アリサの回復魔法によって目を覚ましたらしい。

しかし政務に戻るだけの体力は回復しておらず、依然として王太子セドリックは好き勝手に振舞っている。

姉リアーナの地位を取り戻すのはそう簡単ではないだろう。


現時点ではユリウスがコンテルノ公爵であり、リアーナはただの平民になってしまっているのだ。

二人が婚姻関係を結ぶには、まずリアーナの身分を元に戻すことが肝要となる。


(王太子に気づかれることなく、王宮内で動ける人物――それだけの権力を有している宰相は、俺と姉上にとって必要だ)


答えが出たユリウスは、アランの手を握った。


「いいでしょう。宰相閣下との取引に応じます」


「ありがとう、ユリウス君。んじゃしばらくの間きみは僕の護衛兼、補佐ってことで! あとついでと言ってはなんだけど、僕以外の転生者も一緒に探そうね! もしかしたら、今後は敵になるかもしれないしさ」


「……分かりました」


当分、このおかしな宰相との付き合いが続きそうだ。

ユリウスは溜め息をつきつつ宰相の執務室を後にした。


とりあえずここまでです

また書き溜めのため更新とまります~

しばらくお待ちくださいませ…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。