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欠けた猫
「みぃやぁおおぅ」
窓辺で猫が背伸びした。
「おはよう、シャワー」
埃だらけでベージュ色の猫。
一度お風呂に沈めたら、僕の体に数十の引っかき跡。
だから言葉のシャワーを浴びせる。
後ろの引っかき傷は検分していない。
背中のひきつれ跡も目に入ると、とても億劫な気分になってしまうから。
埃ベージュの色の猫が暴動の記憶など存在しないがごとくに見上げてくる。
僕もまるでまっさらな世界で出会ったように見つめ返した。
白猫である魂は記憶から欠け落としてしまったのだろうか。
それでも幽霊のように忍びやかに入ってきて、みゃあみゃあと猫であることだけは譲らず主張してくる。
引っ掻き傷の続きは、もう少し皮膚がくっついてからにしよう。
そうしたらお前の名前はせっけんだ。




