だから卑屈な女は嫌いなんだ。
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は7/11(土)投稿予定です。
コーデリアに下がらせ、ずいっとアイリスは前に出ていつも狩猟で使っている短剣を構える。
目の前のいてぃえの変貌に臆してはいても恐怖に駆られる事なく冷静に自分の指示に従ったコーデリアに流石だと思いつつ、アイリスは目の前の存在をどうするのか考える。
明らかに異形な姿を化したイティルは今の己の変わり果てた姿に目もくれず、呪詛を吐くように何かを呟いている。
恐らく何か得体の知れない力に彼女の負の感情が連鎖し呼応して感情を増長させているのだろうとアイリスは推察する。
「もう人じゃなくて悪魔だな。」
人ではなく彼女の頭が山羊の頭の姿に変貌している事にアイリスは前世でプレイした悪魔の使徒の姿を思い出す。
まぁそんな悠長に構えているわけにはいかないんだよな。
異形の姿に変貌していけばいくほど、イティルの魔力は膨れ上がり続けている。
このままいけば、本当に彼女は化け物の姿として人に狩られるだろう。
姿を変える時、大きな魔力爆発を感知したはずだし、このままコーデリアを守っていれば、あとは教師たちがどうにかするはずだろうが、コーデリアの安全を第一に考えてこのまま倒してしまった方が良いのではないのだろうかと考え始める。
化け物とかした腕一本残してある程度誤魔化せば別に何も怒られないだろうし一層のことこいつを始末してーーー「アイリス。」
いかに楽に事を運ばせるか算段していると、後ろからコーデリアの声がかかる。
「殺したらダメよ。」
驚いてアイリスは後ろを振り返ると、まるで全てを見透かすようにコーデリアがこちらを見つめていた。
見透かすようにではなく、実際見透かしているのだろう。
彼女は真っ直ぐこちらを見ていた。
「あの子にも大切な家族がいるの、アイリス、だからどうにかしてイティルさんを救ってあげて、お願い。」
コーデリアの願いにアイリスは小さくため息をつく。
「コーデリア、そうは言ってもさぁ。」
あれじゃもう戻れるのかわかんねぇぞとイティルを指差す。
無言で指差したアイリスの言いたい事を理解したコーデリアだったが、それでも殺すのは駄目と再度アイリスに言った。
「アイリス、先生たちがかけつけるまでにどうにかして。」
「もう、仕方ないなぁ・・・。」
観念したアイリスはコーデリアの命令に従う。
でもあと20秒たらずで教師が来そうだし・・・。
と、魔力の流れを見ていたアイリスはある箇所の歪な魔力を感じ取る。
イティルの魔力じゃない何か・・・あれか!
アイリスは見えぬ速さで短剣を動かす、とイティルから何かがポトリと落ちた音がした。
それは彼女が指輪をはめていた指、であった。
次の瞬間、大きな断末魔と膨大な魔力の光の爆発、そして数人で駆けつけた教師達がドアを開けるのはほぼ同時であった。
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