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★管理者と従属種族

 まずは、管理者について説明しよう。

管理者と言うのは、この世界……キトゥンガーデン内を維持・管理させる為に創造主が作りだした、彼の代行者とも言える存在だ。

一応は、神と言う存在の末端に位置すると思いたまえ。


……そんな存在の事は聞いた事が無い?

それはそうだろう。

彼等は、人と混じり合いながら普通に生活しているのだ。

あまりおおっぴらにそんな存在が居て、その辺を歩いているなどと話されるのは、色々と不都合ではないか。

……うむ。

私とりりんにも実害のある話だ。

私達は2人とも、その管理者なのだから。


 さて、管理者の主な仕事であるこの世界の維持管理だが、どんな状態を維持する事を期待されているかというと、彼等自身が『暮らしやすい』もしくは『楽しく生活できる』状態を維持する事……であるらしい。

不確定系なのは、一応は管理者の1人である私にも、特別そう言う指示がある訳ではないからだ。

あまりにも世界が荒れそうな事態になった場合には、創造主や猫神が出てくる様で、今回はりりんとリエラの元に創造主が現れている。


……何故そこでリエラの名前が出てくるのか、かね?

リエラは私の……輝影の支配者という管理者の代行者だからだ。

代行者と言うのは、管理者1人に付き1人だけ任命出来る、管理者の予備の様なものだと言えば分かり易いかね?


 管理者についてだが、私は輝影の支配者という二つ名で、『光・闇・知識』を主に扱える。

りりんは、運命の紡ぎ手と言う二つ名で、『時・空間・縁』を扱うらしい。

他に、『魂の護り手』『生命の創造者』『地霊の主』『水霊の主』『炎霊の主』『風霊の主』と6柱の神がいるのだが、今回は割愛させて貰おう。

 この、管理者の下には眷族と言う、手足の様に指示に従って動いてくれる魔獣や動物が存在する。

私の場合は『ネコ科の生物全般』で、りりんの場合は『糸にまつわる生物』のようだ。

先程、りりんが連れ帰ってきたクモも眷族になる。

 その他にも従属種族と言うモノが居て、これは管理者によっては存在しない場合もあるのだが……。

従属種族は、主となる管理者に対して本能的に行為を抱くものらしい。

丁度、君のりりんに対する反応が分かり易いのではないかと思う。


……うむ。

君たち2人は、運命の紡ぎ手の従属種族だ。


 ここでやっと質問に答える事が出来るのだが、運命の紡ぎ手の従属種族は『先読族』。

炎霊の主の従属種族である『闘姫族』と、輝影の支配者の神族である『輝影族』……グラムナード民と言った方が通りがいいかね?……の間に稀に産まれていた稀少種族になる。

性質は温厚で理性的なものが多く、闘姫族と比べて線が細く輝影族に近い容姿をもつものが多い。

闘姫族の特徴の一つである三つ目でもある為、亜種であると認識されている。

繁殖能力は極めて低いが、その辺りはおそらく今まで運命の紡ぎ手が空席だったのに関係しているのではないかと思う。

魔法属性に恵まれているのが特徴の一つで、5~7属性は適性があるのが基本だ。

その上で、能力の低い者でも数瞬先を見通す事が出来、能力が高くなると視界内の任意の相手の表層意識を読み取ることが出来、更には対象の体験を任意の形で(・・・・・・)再現する事もできる。


……心当たりがあるようだな?

成程。

君は先読族の中でも特に力が強いと言う事か。

……うん?

神族と言うのが何か?

今のところはグラムナード民しか、神族は存在しないのだが……。

平たく言うなら、管理者の血族の事だ。

グラムナード民は、先代輝影の支配者の血を引いた者の末裔になる。

……先代以外は、今のところ神族を作ってはいない様だ。

魂の護り手と生命の創造者はどうも、りりんの今生での両親らしい。

もしかしたら、他の相手と子を為した事が無いのかもしれないな。

……うむ。

後の4柱の内、2柱は君も知っている者だ。

『水霊の主』のアストールも、『地霊の主』である炎麗も、まだ6歳幼いから神族は存在しない。


「おししょーさまの側には、不自然な位に管理者さんが多いくないです??」

「それは私にも良く分からないのだが……。」


 私が返答に詰まると、りりんがポツリと呟いた。


「多分、一応はアルのお祖父ちゃんにも、創造主様は救いの手を伸ばしたんじゃないかなぁ……?」

「救いの手……?」

「グラムナードではまだ、少しだけしか過去視し()てないけど、アルとそっくりで凄く寂しそうな男の人がいたんだよね。表向きは人当たり良さそうなのに、1人になると何かに葛藤してるみたいにグルグル部屋の中を歩き回ったり、頭を掻き毟ったりして凄く辛そうなの。だから、連れ合いは無理でも、一緒の時間を過ごせる相手を側に送りこんだんじゃないかな……と思う。」

「でも、失敗したんです??」

「みたい。なんだか癇癪起こしてるのが見えたし。」


 彼女がヒョイと肩を竦めるのを見ながら、私は1人納得する。


「……その癇癪で、叔母上は『四霊の愛し子』から堕とされたのか……。」

「で、その堕とされた時にバラけられた四霊が、手近な場所に産まれた適性のある子供に定着したってところじゃない? それか、一応、アルの精神安定剤が必要になった時の為に……とか?」

「どちらかというと、アストール()が水霊の主であるというのは、私にこの世界への未練を作る為の様に思えるな。」

「そっちか。」



それにしても、一体いつの間にりりんはグラムナードで過去視などしたのだろう?

いつも無表情で恐ろしげだった祖父が、寂しそう?

グルグル部屋を歩きまわったり、頭を掻き毟ったりする姿など、全く想像がつかない。



 私が首を傾げる中、りりんに向かって先読族の娘――もう、私も姫と呼んでしまうか――姫が何やら真剣な表情で口を開く。


「少し、話は逸れてしまったですけど……。」

「うん?」

「姫達は、闘姫族とはちがうです?」

「ちがうねぇ。」


 緊張した面持ちで問う姫に対して、りりんの返答は、いつも通り端的でのんびりとしたものだ。


「子供が出来た場合、こう、闘姫族の子が生まれたりとかはしないです?」

「輝さんがお相手なら、先読族の大人しい子が生まれるかな。」

「本当に?」

「本当に。大丈夫だよ。その子の後にも、闘姫族は生まれない。」


 りりんがそう断言すると、彼女は目に見えて安心したらしい。

くるっと、隣に腰かけた輝殿の方に向き直ると、少しぎこちなく笑って首を傾げる。


「輝ちゃん。無事に戻ってこれたら、姫と結婚してくれるです?」

「勿論、喜んで。」


 嬉しげな微笑を浮かべてそう答える彼を見て、少し複雑な気分になる。

これは、確かりりんの世界ではよくこう……。


「しまった……。うっかり、死亡フラグたてさせちゃった??」

次の更新は月曜日になります。


2017/6/9 文章の修正を行いました。

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